どうすれば環境保全はうまくいくのか―現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方
- 発売日: 2017/03/02
- メディア: 単行本
どうすれば環境保全はうまくいくのか―現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方
難波さんとの共同主著の野外調査結果が論文になりました*1。Environmental Monitoring and Assessmentに出したIwasaki et al. 2020の続編ですというと、なんとなくjust another case studyかと思われそうなのですが、個人的には(あの)森田さんにも協力いただき、新たに魚類の調査ができたのが面白かったです。お恥ずかしながら、ほとんど魚のこととか頭になかったのですが、初日3時!の朝練も含めて、とても刺激的で楽しい調査でした。一緒に調査頂いたUさんやAさんらにも、とても楽しい調査にしてもらい感謝です*2。底生動物は種数や個体数、魚類は個体数(密度)や肥満度で、金属濃度が高い河川と低い比較参照河川に設定した調査地点間で比較しているのですが、ひとまずこの河川では、(かろうじて)虫のほうが感受性が高そうかも?という結果でした。わりと何回かやっているのですが、やはり魚類の密度のばらつきは大きい。でも、想像していたより、どうしようもないってわけでもない、というのが知れたのが個人的に大きかったです。肥満度(尾叉長と体重から算出)も現地の測定で計算できるのがいいですね。もともとこの河川の金属濃度はそんなに高くないので、他の河川でもなにかできると楽しいなぁと思っております。図にある結果は単純ですので、よかったら御覧ください。オープンアクセスです。ちょっとした続編(でも、個人的にわりと驚いた結果)も来年度出せればいいなぁと思っております。
で、初めてOA誌で、PeerJです。コロラドにいる時にこの雑誌の存在は知っていたのですが*3、なかなか出す機会がなく、という感じでした。最初に出したFreshwater Scienceは査読後リジェクトだったので、さてどこに修正原稿を出そうかなと思ったいたところに、東北大のUさんにちょっと話を聞いたのもあって、PeerJを選択しました。野外調査の許可関係の説明がわりとめんどくさいのですが、一生懸命説明すると納得してもらえたようです*4。査読は2人で(編集者も読んで3人?)、査読コメントも公開されていますが、いずれも建設的で良いコメントだったように思います。査読コメントを公開するというのは初めてでしたが、良い仕組みかもなぁと思いました。あと、査読も、このレベルのIFのジャーナルよりも早い印象です(なんで早くできるのはちょっと知りたい)。もう一本PeerJから受理をもらったので、またそのうちここで紹介できればと思います。
遅くなりましたが,本年もよろしくお願いいたします。最近,いつも何かやることがあって,「ありがとう」というべき状況で言えてないような気がしています(反省)。コロナのせいで主にテレワークな日々でしたが,昨年は,論文のアウトプット自体はわりとできたんではないかなと思います。年末に久々にしんどいことがあったのですが,そっと心にしまっておきたいと思います。
研究
日常
今年の目標・抱負
柴田由紀枝, 岩崎雄一, 竹村紫苑, 保高徹生, 髙橋徹, 松田裕之. 2020. 「和賀川の清流を守る会」会報のテキスト分析:休廃止鉱山での水質モニタリングと会報における関連話題の長期的な変遷. 水環境学会誌 43:183-188. 10.2965/jswe.43.183
柴田さんの論文が水環境学会誌に掲載されました*1。誰でもPDFが落手可能です。内容は要旨に書いてあるとおりなのですが,鉱山の管理について個人的にとてもよい取り組み事例を論文として世に出せたなぁと思っております。個人的な推しポイントとしては,
というところかなと思います。現在経産省を中心に進めている,利水点等管理を実質的に実践している例として,個人的にはほんとに良い事例だと思っています。
経産省のNさんに守る会のことを教えてもらい,横国大の柴田さんがアポをとって一緒にインタビュー?に伺い,もう3年くらいでしょうか。形になって良かったなぁと思う次第です。テキストマイニングも勉強になりました。水質モニタリング結果を見ると,多くの鉱山で金属濃度は段々減ってきているのが明瞭に検出できるというところも割と興味深い結果だなと思っております。河川の利用状況や特性(特に希釈の程度とか),対策のコストに依って,合理的な管理のあり方は場所ごとに違ってもよく,そのとてもよい実例だと思っています*2。良かったら是非ご笑覧ください。
Hiki K, and Iwasaki Y. 2020. Can we reasonably predict chronic species sensitivity distributions from acute species sensitivity distributions? Environmental Science & Technology 54:13131–13136. 10.1021/acs.est.0c03108
HKさんと今年3月頭?くらいから始めた解析が論文になりました(オープンアクセスです!)。ES&T!
やったことと結論はわりとシンプルで,要は
という感じでしょうか。文字にするとわりとごちゃごちゃしていますね。。ちなみに,同じモチベの先行研究は,SSD本にあってde Zwartさんのお仕事*1。
この研究,個人的にとても楽しかったので,備忘録としてちょっと経緯も書いておきます。3月頭にとある論文を読んでこのネタに思いついて,「データもこの論文の使えばいいやん」と思って簡単に解析し,でも誰かとできないかなと思って,TXでたまに会うHKさんにメールした。そしたら,その日の午後に打合せができて,とりあえず引き取ってくれるとのこと。HKさん自身で使うデータを検討していただき,何度かメールのやりとりをしてEnvironToxを使うことになり,簡単な解析を共有してもらった(確か,それが3月中旬!早い)。並行してイントロを書いていたので,その数日後にボクからイントロを送付。方法や結果なども書いた原稿が,3月末にボクに着弾。で,4月中にリバイスを重ねて,英文校閲をかけて5月に投稿。という感じです。
先行研究があることも考えると,さすがにES&Tはきついかなと思っていたのですが,挑戦することにして,カバーレターはわりかしいいカバーレターを書けたと個人的に思っています(ただ,エディターリジェクトに効果があったかは不明)。シンプルな研究なのですが,査読者のコメントもわりと前向きなコメントが多く,内容がさらにブラッシュアップされたように思っています*2。
ES&Tにしては査読に時間がかかったので,研究期間より査読に時間がかかったという感じです*3。あまりにスムーズに進んで個人的にはなんと心地よい協働だっただろうと思っております笑 色々とありがとうございました!