A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

虚ろな十字架

虚ろな十字架 (光文社文庫 ひ 6-14)作者:東野圭吾光文社Amazon久々の読書*1。。前半を少し読んでちょっと中休みが長かったけど、後半は引き込まれて、どどどっと読んでしまった。個人的に、答えがない問題を扱っているところも面白かった。 *1:といっても、…

査読依頼が消えるとか

少し前からあったことではあるのですが、ハンドリングエディターが査読依頼を3名以上のわりと多くの人にお願いして、2名からすでに査読結果が来てもうこれでいいや、という状況の時に、それ以外の査読者をしれっと査読者からunassignして(すなわち、査読…

ネイチャーポジティブ経営の実践

ネイチャーポジティブ経営の実践(日経ムック) (日本経済新聞出版)日経BPAmazon勉強のために購入。まさに!というムック本ではあるのですが、色々と情報が入っていて、全体が俯瞰できる内容になっている一方で、「んー正直やっぱなんかピンこないなぁ」とい…

種の感受性分布を生物グループごとに推定する

Oginah SA, Posthuma L, Hauschild M, Slootweg J, Kosnik M, Fantke P (2023) To Split or Not to Split: Characterizing Chemical Pollution Impacts in Aquatic Ecosystems with Species Sensitivity Distributions for Specific Taxonomic Groups. Envir…

2023年の振り返りと2024年の目標

大分遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。 2023年は所内出向が1月末で終わり、研究現場に復帰できた一方で、次男の持病が引き続きイマイチな中、年末に第3子(さらなる男児)が誕生し…と、変わらず色々あった一年でした。今は短いながらの育…

ヒルの環境指標性

河川環境の指標生物学 (環境Eco選書)北隆館Amazonこの本は、平均スコア(ASPT)の全国河川の値が載っているので手元に持っていたのですが、先日一緒にご一緒したITさんがヒルの専門家だと後で教えてもらって、「11.ヒルの環境指標性ー分類・生態的基礎知見を…

弱いつながり

弱いつながり 検索ワードを探す旅 (幻冬舎文庫)作者:東浩紀幻冬舎Amazonキンドルで安くなっていた?ので、しばらく前に購入。ささっと読めるんだけど、なんだかんだでぼちぼち読んで、昨日読了。徒歩旅行的な部分で、『急に具合が悪くなる』と繋がる部分もあ…

新聞

弊所連載枠に、環境指標としての水生昆虫の紹介みたいな記事を書きました。広報の方がしっかり面倒をみてくれたので、ボクは夏休みの宿題的に初稿を書いて、あとは直してくれた原稿をベースに細かな修正提案くらいで、思ったより楽でした。小学生高学年+保…

LCIA

Fantke P, Huijbregts M, Margni M, Hauschild M, Jolliet O, McKone TE, Rosenbaum RK, van de Meent D (2015) USEtox® 2.0 User Manual (Version 2) Tutorials / Manuals | USEtox® Life cycle impact assessmentあたりで(特に影響評価まわりで)何をやら…

社会を知るためには

社会を知るためには (ちくまプリマー新書)作者:筒井淳也筑摩書房Amazonぱっと目についたので買った程度なのですが、ささっと読める軽さで、面白かったです。個人的には、(本文の該当部分が見つからないけれども)構造、システム、規則、ルール、人間関係も…

統計学的に有意ではない影響濃度(NSEC)の提案

Fisher, R., Fox, D.R., 2023. Introducing the No-Significant-Effect Concentration. Environ. Toxicol. Chem. 対照区(コントロール)のばらつきを考慮して、「影響のない」濃度を決めようという提案。こういう考え方は重要だと思うし、提案自体はあって…

生物多様性目標における化学物質の対象範囲を拡大する

Sigmund, G., Ågerstrand, M., Brodin, T., Diamond, M.L., Erdelen, W.R., Evers, D.C., Lai, A., Rillig, M.C., Schäffer, A., Soehl, A., Torres, J.P.M., Wang, Z., Groh, K.J., 2022. Broaden chemicals scope in biodiversity targets. Science 376, 1…

米国の河川底生動物の長期変化

Rumschlag, S.L., Mahon, M.B., Jones, D.K., Battaglin, W., Behrens, J., Bernhardt, E.S., Bradley, P., Brown, E., De Laender, F., Hill, R., Kunz, S., Lee, S., Rosi, E., Schäfer, R., Schmidt, T.S., Simonin, M., Smalling, K., Voss, K., Rohr, J…

深層学習の原理に迫る

深層学習の原理に迫る 数学の挑戦 (岩波科学ライブラリー)作者:今泉 允聡岩波書店Amazon120pくらいしかないのでさらりと読めて、むしろなんかちょっと物足りにない感じはなくはないんだけど、過剰に増えたパラメータがむしろoverfittingを防ぐ(overfitting…

AICによるモデルアベレージングと予測

意訳すると、「ひやっほーい。種の感受性分布(SSD)の分布にどの分布を選択したらいいかわからない!って問題があったけど、モデルアベレージングを使えば、これで解決やで。んでおれらはこれ使ってSSD書くぜ*1」みたいな論文に出会って、「うへぇ」ってな…

Koelmansのマイクロプラスチックのリスク評価に関するレビュー

Koelmans, A.A., Redondo-Hasselerharm, P.E., Nor, N.H.M., de Ruijter, V.N., Mintenig, S.M., Kooi, M., 2022. Risk assessment of microplastic particles. Nature Reviews Materials 7, 138-152. 今更ながら通読。書いてあることにそんなに目新しいこと…

2022年の振り返りと2023年の目標

あけましておめでとうございます。更新頻度は月1くらいになっていますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。思いの他早く起きてしまったので、整理などを…。去年は2月頭から所内出向となったり、次男がちょっと大変な病気にかかってまだ寛解できていな…

年末年始の読書

文庫 死にたい夜にかぎって (扶桑社BOOKS)扶桑社Amazonミーハーなので、#木曜日は本曜日 で、呂布さんがおすすめしていた爪切男さんの本を読んでみたが、とても面白くて、数日の細切れ時間で、読み切ってしまった。なんというかボクの世界ではないなぁ…

専門家とは誰か

「専門家」とは誰か作者:村上陽一郎,藤垣裕子,隠岐さや香,佐藤卓己,瀬川至朗,神里達博,佐伯順子,小林傳司,鈴木哲也晶文社Amazon近くの本屋で見つけて、悩みつつも購入してしまった本。複数の著者が各自の題を担当していて、いろんな人の考察を知る上ではよい…

全国の河川の環境基準点の物理化学的特徴の整備

岩崎雄一, 小林勇太, 末森智美, 竹下和貴, 梁政寛, 2022. 日本全国の河川における水質測定地点 (環境基準点) の物理化学的特徴の整備とそれに基づくグルーピング. 水環境学会誌 45, 231-237. ちょっと地道な整理(地点の紐づけや位置情報の確認)に時間がか…

末裔

末裔 (新潮文庫)作者:絲山 秋子新潮社Amazon久々に文庫本を読んだ気がする。なんというか、すごいのめり込んですぐに読み切ってしまうタイプではないんだけど、しっかり読みたくなる感じというか。良かったです。

20年間のEcotoxicology関連研究のレビュー(テキストマイニング)

Kristiansson, E., Coria J., Gunnarsson L., Gustavsson M., 2021. Does the scientific knowledge reflect the chemical diversity of environmental pollution? – A twenty-year perspective. Environmental Science & Policy 126, 90-98. SZKさんに教え…

電気伝導度の広域予測

Olson, J. R., Cormier S. M., 2019. Modeling Spatial and Temporal Variation in Natural Background Specific Conductivity. Environmental Science & Technology 53, 4316-4325. Cormierさんの最近の論文を眺めていて、気づいた論文。タイトルの通りで、…

嫌われる勇気

嫌われる勇気作者:岸見 一郎,古賀 史健ダイヤモンド社Amazon「わりと病んでますね」って言われそうなのですが、MKさんが紹介していた、アドラー心理学なるものの関連書籍を読んでみました。総じて、たしかにそう考えることもできるなぁと勉強になったのです…

海水と淡水の種の感受性分布の比較

Miina Yanagihara, Kyoshiro Hiki, Yuichi Iwasaki (2022) Can chemical toxicity in saltwater be predicted from toxicity in freshwater? A comprehensive evaluation using species sensitivity distributions. Environmental Toxicology and Chemistry.…

ブランディングとは愛されること

ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門作者:原野守弘クロスメディア・パブリッシング(インプレス)AmazonこれもSNSで流れてきて気になっていた本。科学的根拠に不安を覚える箇所があったり、記述がに気になるところがあったのですが*1、著者自身の経…

多様性の重要性

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織作者:マシュー・サイドディスカヴァー・トゥエンティワンAmazonちらほらSNSとかで流れてきてKindleで読んだ本。総じて多様性って、建前じゃなくてご利益大きいですよ、というのを理解する…

ヘルシンキ 生活の練習

ヘルシンキ 生活の練習 (単行本)作者:朴 沙羅筑摩書房Amazon入院中の次男にトミカの差し入れをするためではあったりするのですが、近所に本屋さんがあり、何気なく並べてある本を眺めたり、「お、いいかも」と目にとまった本を手にとって読む、というプロセ…

廃水の希釈が放流先河川の水生生物の状態に重要

Büttner, O., J. W. Jawitz, S. Birk, and D. Borchardt. 2022. Why wastewater treatment fails to protect stream ecosystems in europe. Water Research 217:118382. 久々にざっと眺めた論文。ヨーロッパ全体で、ecological statusと廃水の希釈割合の関係…

英語の発表

国外の方を対象に、久々に英語で約1時間ほど発表するという機会があった。オンラインなので逐一の反応がわかんないのが残念なんだけど、終わった後に自然と出てきた拍手アイコンから想像するに、少なくともある程度の人は理解して楽しんで?くれたのではと思…