A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

オショロコマと火山

Esin EV, Markevich GN, Shkil FN. 2020. Rapid miniaturization of Salvelinus fish as an adaptation to the volcanic impact. Hydrobiologia. DOI: 10.1007/s10750-020-04296-w.

オショロコマへの火山の影響。ざっと読みだけど,土石流で個体群が孤立した後に,その集団の変化を色々と応答を調べていて,面白い。ただ,深くは理解できていない。メモとして。

マイクロプラスチック関係のお勉強

諸事情により,マイクロプラスチック関係の生態リスク評価(特に有害性評価)あたりについて,関連論文を読んで理解を進めていくことになりそうなので,個人的なメモを残していく(多分第一弾)。主に,有害性評価まわりについてのメモですので,あしからず。

日本学術会議(2020)提言「マイクロプラスチックによる水環境汚染の生態・健康影響研究の必要性とプラスチックのガバナンス」*1

まずは,この4月に出た日本学術会議の提言。誤解を恐れずいうと,少し煽り気味だなぁという印象*2。ということで,今後の課題を把握するにはいい報告書かと思います*3。リスクという名前がついている分科会なのに,既往のリスク評価の結果の引用が少ないところも気になります。まぁでもいくら引用してもメッセージは同じかもしれませんが。
[追記]
有害性まわりだと,マイクロプラスティック粒子を介した化学物質の曝露推しの提言になっているのですが,このあたりの総説もいくつかあって,その結論とかもきちんと引用して,もっとバランスのあるものにすべきだったでしょう*4

Backhaus T, Wagner M. 2019. Microplastics in the Environment: Much Ado about Nothing? A Debate. Global Challenges:1900022. DOI: 10.1002/gch2.201900022.

リスク評価という意味でも,個人的にとても面白い。ボクの理解では,Martin Wagnerさんは,マイクロプラスティック関係の毒性試験とかの結果をどんどん出しているひと。それに対して,Thomas Backhausは有害性評価よりの化学物質の生態リスク評価の人。Allen Burtonさんが出したES&TのViewpoint*5に,反応して始まったエッセイのやりとりです。オープンアクセス。ちょっと口語調なのが読みにくい感じもしますが,比較的スラスラ読めました。おおざっぱなメモは以下の通り。

  • アレンの「曝露がそもそも少ないし,リスクの懸念はないでしょ*6」に対して,マーチンは「単純化しすぎ*7」トーマスは「リスクが誇張されていることに同意」している。
  • 現状の簡易な判断では,リスクは小さいことには二人は合意しているようだが,マーチンは将来の曝露量の増加や「プラスティック問題を解決するいいタイミングとしてもよい」という意味で,予防的なスタンスをとっている。
  • また,学術的な知見が足りないことや,既出の毒性試験のやりかたに問題があることにも合意している。
  • 結局,アレンのビューポイント記事に対する二人の意見のずれは,現状のリスク評価のやり方をどれくらい信用しているの違いやこの問題に対する予防的なスタンスの程度の違い,に起因しているように思った(個人の感想)。
  • 物理的な影響を調べるのであれば,コントールに自然起源のparticlesを入れて評価すべきでしょ,ここをNull hypothesisとして出発すべきでしょ,というトーマスのコメントには,ボクは強く同意する。
  • レビュー論文などの表現を「こんな結論言えないでしょ」と具体的に取り上げているのも面白かった。すなわち,科学的な知見でまだ仮設レベルの話を,確定事項のようにいう誇張はよくないよね,というのは,エッセイでも出てきた。

Connors KA, Dyer SD, Belanger SE. 2017. Advancing the quality of environmental microplastic research. Environ Toxicol Chem 36:1697-1703. DOI: 10.1002/etc.3829.

P&Gの皆さんにより,マイクロプラスティック*8の曝露及び有害性評価に関するCritical Perspectives論文。これを読むと,現状のデータには色々問題があって,うーん,もう全然だめじゃんとか思ってしまったのですが,きっと今は改善されていると信じたい。

  • 影響メカニズムがわからないので,particle/Lとmg/Lの両方が計算できるようにしておくべき。
  • 5mm未満より小さいsolid particleと定義されている。下限については,いくつか提言はされているが,まだ合意できてない?(この論文の段階で)
  • カオリン粘土のSSDが推定されている。非致死的なエンドポイントで,HC5は36 mg/L。
  • その他実験条件などは,ひとまず省略。

*1:引用の仕方不明

*2:別の機会で,だいぶ前に,某方が「学術会議が査読付きではない結果を引用して…」と批判していたのをふと思い出しました

*3:繰り返しますが有害性評価まわりしか真面目に読んでいません

*4:色々言いたくなりますが,とりあえず(略

*5:Burton GA. 2017. Stressor Exposures Determine Risk: So, Why Do Fellow Scientists Continue To Focus on Superficial Microplastics Risk? Environ Sci Technol 51:13515-13516. DOI: 10.1021/acs.est.7b05463.

*6:ここ不正確かも

*7:既往のPEC/PNECの枠組みを使うことに懐疑的

*8:マイクロファイバーは除外

複数のストレッサー(の影響)を調査する研究

Orr JA, Vinebrooke RD, Jackson MC, Kroeker KJ, Kordas RL, Mantyka-Pringle C, Van den Brink PJ, De Laender F, Stoks R, Holmstrup M, Matthaei CD, Monk WA, Penk MR, Leuzinger S, Schäfer RB, Piggott JJ. 2020. Towards a unified study of multiple stressors: divisions and common goals across research disciplines. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 287:20200421. DOI: 10.1098/rspb.2020.0421.

ボクの知っている範囲だと,化学物質界からは,Van den Brink,De Laender,Schaferさんあたりが入っている。特段,かっこいい展開はないのですが,現状の整理という意味では,大事な論文じゃないかなと思います。個人的なメモは以下の通り。

  • (よくあることですが)分野によって,使っている用語が違う。特に,陸域の分野が他の分野とちょっと違う用語を使っている。
    • 実質的に,これでいつ困るかというと,メタ解析したときにキーワードで論文が拾えないという問題が出てくる。
  • したがって,表2にこれらを整理した用語集がある。Multiple Stressorsな話をするなら,一度目を通しておくといい気がする。
  • 他にも各分野でのレビューやメタ解析が整理されていて,最初のとっかかりとしても参考になると思う。
  • 論文の引用関係とかキーワードの関係とかが図1&2にある。面白いし,ぱっと見るだけでも参考にはなるけど,学術的にはまぁそんなにすごいことでもないのでは?とも思ったり*1
  • 生態学的複雑性,タイムスケール(と現実性),予測が今後の課題とのこと。
  • Interactionsの定義がこれまた曖昧に進められていると思うのだけど,拮抗,相加,相乗を評価する”世界”から予測する”世界”に…!とはなっているけど,明確な展開は示せていないような気がする。上の3つの点を持ち込んできた時点で,まぁもう定量的な予測なって…とも思ってしまいますが。
  • 総じて(当たり前と言われそうですが),まだまだこれからという感じです。

*1:ちょっとひねくれすぎ?

男の子

特段深い意味はなくて,ただ,親戚が顔本でこの本をオススメしていて,こういうの読んだことないから読んでみようかなと思って,アマゾンで中古で買った本。個人的には,なんとなくそうだよねと思っている,ということは書かれていると思いますし,確かに,これを読んで楽になる人はいるのかもしれません。読者の対象は父親というより母親な感じ。著者をよく知らないのですが,「はじめに」に書いてある「子供の心の声が聞こえる*1」とか,最後の方に書いてある「なんでもプラス思考*2」的なところは,個人的にはちょっと苦手でした。極端にいうと,目次だけ眺めればいいかも,感はあるかもしれません。なので,内容については,各自で!ということで!

*1:著者も次の文章で,「ホントです笑」とそれっぽいフォローは入れている

*2:気持ちはわかるし,大事だと思う

QSAR+ICEで種の感受性分布の推定

Douziech, M., Ragas A. M. J., van Zelm R., Oldenkamp R., Jan Hendriks A., King H., Oktivaningrum R., Huijbregts M. A. J., 2020. Reliable and representative in silico predictions of freshwater ecotoxicological hazardous concentrations. Environment International 134, 105334.

種の感受性分布をQSAR(quantitative structure activity relationship)とICE(Interspecies correlation estimation)で推定し,HC5やHC50のバイアスや不確実性を評価するという論文。大雑把にまとめると,これらの2つの手法を組み合わせると,バイアスはそんなにないけど*1,不確実性(信頼区間の幅)は大きいという話*2。3種で種の感受性分布を描くというのも,比較対象として1つ挙げられている(メモ)。LCA文脈とかを意識されている感じなのですが,そうか,SSDLCA方面でも使われているのか,と今更ながら気づいた(そして,そっち方面でのSSDの議論って追えてないなぁと思った)。

*1:大体01-10倍の範囲には入っているみたい

*2:点推定では結構あってるんですよね,ということだったら,不確実性が大きいのは多少許容できたりしないのだろうか。このあたりきちんと読めてないので,メモとして

Circles

Circles

Circles

  • アーティスト:Miller, Mac
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: CD
惜しまれしくも亡くなったMac Miller*1の新譜。一曲目は,一瞬ボブディランかと思った。いやでもいい。Tiny DeskのMac Millerもすごくいい。

Mac Miller: NPR Music Tiny Desk Concert

*1:とか書いてみたけど,音楽以外よくしらない

Munkittrickさんの1990年あたりの仕事

Munkittrick, K. R., 1992. A review and evaluation of study design considerations for site-specifically assessing the health of fish populations. Journal of Aquatic Ecosystem Health 1, 283-293.
Munkittrick, K. R., Dixon D. G., 1989. A holistic approach to ecosystem health assessment using fish population characteristics. Hydrobiologia 188, 123-135.
Munkittrick, K. R., Dixon D. G., 1989. Use of white sucker (Catostomus commersoni) populations to assess the health of aquatic ecosystems exposed to low-level contaminant stress. Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences 46, 1455-1462.
Arciszewski, T. J., Munkittrick K. R., 2015. Development of an adaptive monitoring framework for long-term programs: An example using indicators of fish health. Integrated Environmental Assessment and Management 11, 701-718.

分け合って,Kellyさんの論文をいくつかまとまって眺める。ボクのブログだと,
yuichiwsk.hatenablog.jp
にちらっと登場しています*1。魚類個体群,特に,生活史が比較的短く底生のwhite suckerに着目していて,化学物質の影響をどうやって評価するかを,体系的に整理しようとしている(Munkittrick & Dixon 1989がwhite suckerしばりで他はその派生みたいな感じ)。影響がどこに観測されるかによって影響のパターンを分けていて面白い。アイデア自体は,乱獲で同様にパターンを分けた人が最初にいて,それを参考にしているようだけど,このあたりの整理も確実にカナダのEEMの下地になっているはず。2015年論文は,ちょっと長すぎてざっと眺めただけ。方法論とかはその通りって感じですが,やっぱ持ってるデータ量が違うよね,って感じ。

*1:印象として,できるいい人