A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

鉱山での水質モニタリング活動

柴田由紀枝, 岩崎雄一, 竹村紫苑, 保高徹生, 髙橋徹, 松田裕之. 2020. 「和賀川の清流を守る会」会報のテキスト分析:休廃止鉱山での水質モニタリングと会報における関連話題の長期的な変遷. 水環境学会誌 43:183-188. 10.2965/jswe.43.183

柴田さんの論文が水環境学会誌に掲載されました*1。誰でもPDFが落手可能です。内容は要旨に書いてあるとおりなのですが,鉱山の管理について個人的にとてもよい取り組み事例を論文として世に出せたなぁと思っております。個人的な推しポイントとしては,

  • 漁協など多くの利害関係者が参画している会として,鉱山の水質モニタリング(金属濃度等)を長期間続け,測定結果を会報に掲載している。
  • 下流の水質調査地点では環境基準を満たしていることを確認した上で,排水基準の超過の如何によらず,測定結果が公開されている(ただし,義務者不存在鉱山は法的には排水基準の適用はない)。

というところかなと思います。現在経産省を中心に進めている,利水点等管理を実質的に実践している例として,個人的にはほんとに良い事例だと思っています。

経産省のNさんに守る会のことを教えてもらい,横国大の柴田さんがアポをとって一緒にインタビュー?に伺い,もう3年くらいでしょうか。形になって良かったなぁと思う次第です。テキストマイニングも勉強になりました。水質モニタリング結果を見ると,多くの鉱山で金属濃度は段々減ってきているのが明瞭に検出できるというところも割と興味深い結果だなと思っております。河川の利用状況や特性(特に希釈の程度とか),対策のコストに依って,合理的な管理のあり方は場所ごとに違ってもよく,そのとてもよい実例だと思っています*2。良かったら是非ご笑覧ください。

*1:岩崎は,第2著者でコレスポ

*2:ちょっとしつこいですね