原著論文は載せられてなかったES&T連チャンです。経産省さんからの研究予算を頂いて行った「無影響濃度(NOEC)で観測される毒性影響の大きさ:生態リスク評価への示唆」の成果の一部です。なんというか個人的にはダメ元でとりあえずES&Tへ,という感じで出したので,この研究が載るのか感がありますが*1,HSKWさんに「気合い入っていない方が,客観的にフォーカス当てるところがわかるので,受けがよくなるのでしょうね。」というのは言い得て妙な気がします。バルセロナのSETACでもとても受けが良かった印象です。
一応,概略を書いておきますと,最近の*2NOECやめようよという流れで,代替としてECx(EC10とか)を使おうとする流れがあるのですが,実際「種の感受性分布(SSD)をNOECとEC10で描いたら,95%の種が保護される濃度は変わるのでしょうか?」というのがこの研究の発端です。まぁよく知っている人からすれば,まぁEC10もNOECも平均的に見ればそんな変わらないし,SSDは複数の毒性値を使うのだから,まぁ多分ほとんど変わらないでしょうね。というのがすぐ直感的に分かると思うのですが,それを実際に5つの物質でSSDを書いて,その通りの結果が出ましたよ,という話です*3。要旨のところにある図を見れば一目瞭然な感じです。
まぁそもそもこういうことを実例で示したものがなかったので評価されたということにしておきたいと思います。どうしてもNOECに頼らざるをえない状況がある,とかあるいは過去に蓄積されたNOECは無駄になるのはどうなのか,みたいな話があって*4,そういうところで実質的にはNOECの影響サイズを調べて明示しながら使うのはいいのではないでしょうか。というのがこの論文の主張です。だからといって,NOECを盲目的に使っている論文は本当に好きでないです*5!