A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

SETACヨーロッパの年会(5/12-16)に行ってきたので,簡単に感じた事などをまとめておきたいと思います。ただ,いずれもメモ程度であるということ,内容をきちんとボクが把握できているかという点と,あくまで口頭またはポスター発表での内容を参照しているという点をご留意ください*1。順序は一応日時順ですが,ポスター発表とかは後の方になっています。基本的に見たのは,金属,個体群,生態系サービスあたりのセッションに偏っています。とりあえず,学会に行くとモチベーションがあがる。金属な人たちのミーティングにも出ると,さらにあがる。まぁ,問題はボクがどう攻めていくか,なんですが。あと,論文で名前を聞いた人が個体認識できて嬉しかった。Van den Brinkさんにも思い切って話しかけてみた*2

  • Peters A.さん
    • Chemically toxic(だけ)ではないので,野外データをつかって安全濃度を決めるというお話で口頭発表されていました。この論文の著者だけど,個体認識できて良かった。ポスター会場で見かけたので思い切って話しかけてみた。Mark Craneさん*3と同じwcaで,精力的に動いている感じ。
  • TippingさんらのWHAMのフミン酸にくっついた量を曝露指標とする手法がこれから色々応用された例が出てきそう
    • ボクの発表したセッションでEdも新しい解析結果を出していましたが,精力的に色々なところと連携して研究を進めているみたい。ちと,その中の人になりたかった気もするけど,まぁ仕方ない。データ量では負けるので,ボクはボクのやり方を探さないと。イギリスは野外データも揃っていてうらやましい。これをつかって研究しているDe Jongeという人と話したけど,でもやっぱり野外データに当てはめて検証するのは*4難しいですよ,との話。まぁでも,確かに発表のデータも結構苦しい感じではあった。
  • EU directiveは個体群保護
    • 少なくとも発表でそう言ってた人が居ただけですが,反論もなかったし,そういう認識でいいのだと思います。当の本人は温度一定の毒性試験に文句をつけたイントロでしたが,結果の解釈は難しいとのこと。質問者が,色々考慮せないかんというのは分かるが,パンドラの箱をあけるみたいな作業だとコメントしていたのが印象的でした。Grimmさんも会場に居た。
  • SSDを種分布モデル(SDM)をつかって野外データから描く
    • Leoさんのグループがやっていた。SDMも沢山あるのでややこしいしどうしても交絡因子は避けられないだろうけど,発想自体はおもしろい。在不在で見て,ある一定の出現確率で切ると,確かにSSDの枠組みにのせられる。閾値推定の新しい方法がMethods in Ecology and Evolutionに載ってて,それも使えるなぁと思っていたのを思い出した。これは,Petersさんの仕事とも関連して,なんかやってみたい*5。Ecotoxな文脈で,モデルアベレージングの話はこの発表で初めてきいたかも。この発表では,分布モデルなのに緯度経度を考慮してなかったし*6,あと細かいけど,過分散を考慮していない気がした。過分散じゃないのかもしれないけど。
  • What is Causing Biomagnification of Persistent Hydrophobic Organic Chemicals in the Aquatic Environment?
    • 特段見るものがなかったときに,Karen Kiddさん*7のBiomagnificationセッションに,フォートコリンズの時に会ったDaivid Waltersさんが発表するみたいなので,行ってみるとキャンセルされていて,Jonkerさんが発表していた。生物濃縮の話に対して,結構挑戦的なことを言ってたんだけど,ここに正確に欠けるほど知識はないので,メモだけ。上のタイトルのES&Tの論文を後で読む必要がある。生物濃縮係数というのがあるけど,結構ブラックボックスである要因を考慮すると,結構1に近くなる(すなわち考えられている生物濃縮というものは起こってないとも解釈できる?)という話をされていたんだと思う。あまり自信ないけど。生物濃縮の世界でもこういう議論がされているんだと思って,ちょっと驚いた*8
  • 回復をどう判断するか?という話で,Visual inspectionという話が出てきてちょっとおもしろかった。
    • 繰り返しが少なく統計的な検出力が小さいことが多いので,結構難しいとのこと。あと,時間の概念も入ってくるので難しいという話もあった気がする。
  • 魚の初期生活史段階の毒性試験の統計解析(J. Green)
    • 全部が全部ECxではできんという,Greenさんの発表。文字が多くてしんどかった。その記事にも書いてあったんだけど,多重比較はDunnetはじゃなくて,Cochran–Armitage testを使えとのこと。extra-binomial*9のときは,Raoなんとかの補正をせよとのこと。あと,意外なことに,割り算はやめなさいとおっしゃっていました。毒性試験の統計解析にあかるそうなので,GLMみたいなのがどれくらい使われているか質問したかったんだけど,見失ってしまった。メールしてもいいかもなぁ*10。所属はDuPont。
  • PetersさんとDe Laenderさんが群集や生態系のセッションを組んでたけど,どうも意図と違う発表が集まった印象がする。
    • 金属のセッションが無ければ,ここに出しても良かったんだけど。
  • SPEARかPRCか
    • 多分,その手の人にとってはちょっと話題なせいか?,人は沢山来ていた。Van den Brinkの学生だから,PRC側の人。PRCは「データの語らせる」方法で,SPEAR「Traits情報を用いて影響を見る」という感じ。結果は,SPEARの情報不足もあり*11,PRCに軍配。まぁ感受性の高さという意味では,PRCで十分なのでしょう*12。あと,SPEARは農薬特有にしているので・・・交絡要因とかの影響は少ないと言及する発表(ミランの時のSETAC)や論文があった記憶があって,怪しいと思ってたけど,今回のポスターでSPEARpesticideと一般的なASPT indexやSaprobic indexが綺麗に相関している結果があった。まぁ,特定の物質への感受性が他の物質への感受性と相関していることは大いにありえると思うので,がそんなもんなのでしょう*13
    • Van den Brinkのちょっとした講演みたいなのもあったけど,農薬+メソコスムの人,という感じだった。昔アメリカでメソコスムが流行らなかったのは,大きすぎたり,捕食魚類を入れたりしていて(推測だと思います),結果の解釈が困難だったからというお話あり。別の発表で,PRCの結果は直感的に分かりやすい,という話もあった(Reedさん)。
  • 亜鉛イオンと亜鉛のナノ,でSSDを書くと,亜鉛イオンの方がHC5が小さくなるというのはおもしろかった(Loureiro et al. ポスター発表)。
    • あまり技術的なところは分かってないのですが,イオンの毒性で説明できるんだろうという話だった。銀もやってたが,こちらは,ナノの方が毒性が強いみたい。
  • Grimmさんところ?のMeliさんという人がトビムシの個体レベルのモデリングをしていた。
    • 個体レベルのモデリング寄りの人なので,もちろんそっちをおしているんだけど,口頭発表は結構濁してた気がする。やっぱ,難しいものは難しい。
  • 余談ですが,ES&Tのエディターの一人のJoop Hermensを個体認識した*14

*1:まぁ需要があるとは思いませんが,念のため

*2:この前のET&Cのハンドリングエディターだったので,その話題で話してみたけど,あんまり興味なさそうだった^^;まぁそんなもんでしょう

*3:もう引退したみたい?

*4:不明なばらつきも多くて

*5:と思うけど,いつできるかは不明

*6:担当していたポスドクが出産してこれなくなって,代わりの発表者だったけど,「それは良い質問だ」と言ってた。。

*7:Willとサバティカルで同じところに居て,ツーカーらしい

*8:測る世界なのでもっと綺麗なストーリーになっているのかと思っていたという意味で

*9:多分過分散のことを表現しているのだと思う

*10:ということで送ってみた。返ってくるかは不明

*11:というか,あまり手法を理解していないので以下誤解があるかも知れません

*12:まぁ何をもって十分とするかは難しいですが

*13:そいえば,SPEAR側のBeketovさんも見かけたので話しかけてみたけど,なんとなく苦手な感じだった気がする。これはあくまで個人的な印象ですが。

*14:ボクの論文をリジェクトしまくる人。といっても3回くらいだけど。