A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

諸外国における生物応答を用いた排水管理手法に関するセミナーに参加してきました*1。品川だと,近くていいですね。
お目当ては,Kelly Munkittrickさん。最初の講演者は,Jerry Diamondさんという人に変わっていましたが,これもおもしろかったです。以下は箇条書きメモ。多少知っている話か通訳なしでも聞けたのですが,そのせいで誤解しているところもあるかもしれません。

  • Diamondさんは,アメリカのお話。
    • WETをしても,結局どういうところをtoxicとしてnon-toxicとするかという条件に依存するし,その問題はまだまだなんだなぁと感じました。繰り返し数を増やすと,ほら,検出力が上がりますよね?とかデータを出して説明されていましたが,まぁそれは当然なわけで。
    • 7-day Q10(7Q10)という流況指標が出てきて,ちょっとドキっとした。どういう風に計算しているかは分かりませんが,低水の指標で,この流量で希釈されるという条件を考えているようです。
    • "Bioassessment rarely used;States rely on WET and chemical monitoring"というのはちょっと意外でした。あんだけデータがあったりするのに,こういう認識なのかぁと。理由は標準化されていないとか,言ってた気がします。
  • MunkittrickさんはカナダのEEMの話。
    • ボクの中で,Munkittrickさんは,ET&Cに載っているCritical effect sizeのレビュー記事を書いた人。
    • EEMは,Environmental Effects Monitoringの略で,環境影響モニタリングとでも訳せましょうか。
    • EEMはindustry-fundなところがとても良いと思った。
    • EEMのすごいところは,事前にサンプルサイズや問題ないとする影響サイズとかを決めているところ。これが良いか別としても,以前にwebにある資料を読んで,すごくきちんと決めていて,びっくりした記憶があります*2。例えば,問題としない影響サイズは,対照地点に対して25%以内の変化とか2SD以内の変化とかとかって決まっています。これはどんな調査方法でもというわけではなくて,必要なサンプル数が指定されているのがミソな気がします*3。とにかく,こういう作業はある意味世界の先端をいっているんじゃないかなと思っています。
    • 底生動物は,魚の生息場の指標として,採取しているようです。多変量解析(MDS)の結果,底生動物の指標は魚の指標とは異なる情報を提供してくれているようだと言っていました。
    • 講演が終わった後に,ちょっとだけ話をしたのですが,良い人でした。感謝。

追記20120202
EEMで来ている人が思いの外多いので,ちょっと加えておくと,カナダのEEMのサイトはこちら。どうやら,Metal Mining Effluent RegulationsとPulp and Paper Effluent Regulationsの2つがあるようです。Munkttrickさんが話されていたのは後者のデータについてで,ボクは前者の報告書(というか手順書)を読んだ記憶があります。
また,WETは,工場排水をそのまま使って*4ミジンコ等で毒性試験する方法ですが,EEMはいわゆるモニタリングで河川の魚類の精巣のサイズとか底生動物の個体数とかを調べる対象になります。前者にも後者にも欠点と利点があります。WETで気になる点は,前にも少し書きました(今読み返してみると,何書いてるんやろという感じがなくないです)。

*1:午後はおいとましました。すみません

*2:Munkittrickさんに伺った感触だと,25%という値はデータのばらつき等を見て,悪くない数字である印象を持っているようでした

*3:シンポではこういう話はでなかったので,ボクの理解が正しければ

*4:希釈はするみたい?