A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

複数のストレッサー(の影響)を調査する研究

Orr JA, Vinebrooke RD, Jackson MC, Kroeker KJ, Kordas RL, Mantyka-Pringle C, Van den Brink PJ, De Laender F, Stoks R, Holmstrup M, Matthaei CD, Monk WA, Penk MR, Leuzinger S, Schäfer RB, Piggott JJ. 2020. Towards a unified study of multiple stressors: divisions and common goals across research disciplines. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 287:20200421. DOI: 10.1098/rspb.2020.0421.

ボクの知っている範囲だと,化学物質界からは,Van den Brink,De Laender,Schaferさんあたりが入っている。特段,かっこいい展開はないのですが,現状の整理という意味では,大事な論文じゃないかなと思います。個人的なメモは以下の通り。

  • (よくあることですが)分野によって,使っている用語が違う。特に,陸域の分野が他の分野とちょっと違う用語を使っている。
    • 実質的に,これでいつ困るかというと,メタ解析したときにキーワードで論文が拾えないという問題が出てくる。
  • したがって,表2にこれらを整理した用語集がある。Multiple Stressorsな話をするなら,一度目を通しておくといい気がする。
  • 他にも各分野でのレビューやメタ解析が整理されていて,最初のとっかかりとしても参考になると思う。
  • 論文の引用関係とかキーワードの関係とかが図1&2にある。面白いし,ぱっと見るだけでも参考にはなるけど,学術的にはまぁそんなにすごいことでもないのでは?とも思ったり*1
  • 生態学的複雑性,タイムスケール(と現実性),予測が今後の課題とのこと。
  • Interactionsの定義がこれまた曖昧に進められていると思うのだけど,拮抗,相加,相乗を評価する”世界”から予測する”世界”に…!とはなっているけど,明確な展開は示せていないような気がする。上の3つの点を持ち込んできた時点で,まぁもう定量的な予測なって…とも思ってしまいますが。
  • 総じて(当たり前と言われそうですが),まだまだこれからという感じです。

*1:ちょっとひねくれすぎ?