本を読み始めて最初は、読みやすくて、宮崎さんの奥底にある誠実さというか人の良さみたいな伝わってくるとてもいい本だと思いつつ、どうもこうパンチが足りないというか、何に対する物足りなさかわからない物足りなさみたいな感想を持っていました*1。なので、ボクにとって、夢中になってあっという間に読んでしまった、みたいな本ではなかったです。一方で、こうなんというか、それとなく染み込んでくるというか、本の帯の言葉でいうと、等身大のまま、染み込んでくるみたいな感じがして、なんとなく新しい読書体験だったかもしれません。うだうだ書きましたが、個人的に、「違和感を言語化しなければ、いつのまにかそれが是とされ、自分も周囲の人間もなんとなく受け入れてしまうということを(p.222)」という言葉に背中をおされて、Fort worthからの帰りの飛行機でLetter to Editorを一つ書き上げたので、余計に印象に残る一冊になりました。僕が気になった断片は以下の通り…。
- 無目的なbeになれる場面が極端に少ない(p.30)
- 変化の激しい世の中で、凪の状態に見を置くこと(p.54)
- それでも想像しようとすることをやめたいとは、僕は思わない(p.110-111)
- 「弱くある」ことは、とても贅沢なことである(p.216)
- 考えてみれば当たり前だが、人類にとって、「弱さ」は「強さ」よりも常に先行して存在したはずである(p.217)。
- 違和感を言語化しなければ、いつのまにかそれが是とされ、自分も周囲の人間もなんとなく受け入れてしまうということを(p.222)
- そして言葉が、僕が書いたり、語ったりする言葉が少しでも実感のこもったものになっているのだとしたら、それは弱い自分を前提としている言葉だからであろう(p.227)
- 悲しみは「打撃」であり「傷」として残るけど、寂しさは「状態」に近い(p.238)
- 「誰だって、いまが一番若い」という事実(p.254)
*1:そんなことをいいつつ、いいなと思う言葉には付箋をつけたりしていたのですが