A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Chapman P.M. (2007) Heavy metal―music, not science. Environ. Sci. Technol. 41:6-6.

上の論文にあった意見論文。「ヘビィメタル:科学ではなく音楽」というまたまたキャッチーなタイトルです。Chapmanさん。まったく深く考えてなかったですし,ボクの読んでた論文は大体heavy metalsという表現を使っていたのでそれに習っていましたが,重金属というのは明確な定義がないので,heavy metalsという用語は使うべきではないというChapmanさんの主張。heavy metals という言葉は,文献が科学ではなく音楽でない限り,edit outする必要があるという主張。以下の本に,この辺りの定義についてはもう少し詳しく書いてありますが,この本の著者らは色々言及した後に,heavy metalsではなく,trace metalsという言葉を(実用的な妥協案として)使うとしています。

Luoma S.N., Rainbow P.S. (2008) Metal Contamination in Aquatic Environments. Cambridge University Press, Cambridge, UK.

追記:120504

van Dam RA, Harford AJ, Warne MSJ. 2012. Time to get off the fence: The need for definitive international guidance on statistical analysis of ecotoxicity data. Integr Environ Assess Manag 8:242-245.

NOEC/LOECがなぜなくならないか,大きな理由は,国際的なガイドラインがそれらの利用の推奨をやめなかったから,という著者らの主張。OECD(2006)にあるNOECの導出方法に関するガイドラインを提供する理由が引用されて,それに対する反論があったりする。主に政治的?あるいは歴史的な部分について,より細かい議論がされている。

追記:120627

Van der Vliet et al. 2012. NOEC: Notable oversight of enlightened Canadians: A response to van Dam et al. (2012). Integr Environ Assess Manag 8:397-398.
van Dam et al. 2012. Canada showing the lead, however, we still have a NOEC problem: Response to van der vliet et al. (2012). Integr Environ Assess Manag 8:399-400.

上の,van Damさんの記事に対するコメントとそれに対する返答。Van der Vlietさんの方は,カナダはすでにNOECやLOECを使わないようにガイダンスやEnvironmental Effect Monitoringでなっているが,その点への議論が抜けているという話。日本のWETの話が出ているけど,どうなんだろ,NOECでやらないのかな(そういえば,よく知らない)。あと,野外から持ってきた底質を使った毒性試験とか,やはり仮説検定型の統計解析が馴染むものもある。との話。
それに対する回答は,概ね受け入れて*1,(非常におおざっぱにまとめると)我々は同じ目的に向かっている。という感じ。

*1:色々細かいことは言っているけど