A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

嫌われる勇気

「わりと病んでますね」って言われそうなのですが、MKさんが紹介していた、アドラー心理学なるものの関連書籍を読んでみました。総じて、たしかにそう考えることもできるなぁと勉強になったのですが、身になっているかは…。もうすでに記憶の彼方感がありますが、無駄にメモした文章たちを抜粋して…

  • 対話を通じて答えを導き出していく、その貴重なプロセスを奪いたくない
  • 大切なのは、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである*1
  • 人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
  • 健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるもの
  • 過去の出来事にどのような意味付けをほどこすか。これはいまのあなたに与えられた課題
  • 勇気の問題
  • 他者の期待など、満たす必要はない
  • 「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある。
  • 「その選択によってもらたせる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考え(後略)
  • 「ここから先は自分の課題ではない」という境界線を知りましょう。そして、他者の課題は切り捨てる。
  • 自由とは、他者から嫌われること*2
  • 嫌われる可能性を恐れることなく、前に進んでいく。
  • あらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。
  • 他者のことを「行為」のレベルではなく、「存在」のレベルで見ていきましょう。
  • 「わたしは誰かの役にやっている」という主観的な感覚を、すなわち「貢献感」を持てれば、それでいい
  • 幸福とは貢献感である。
  • 普通であることの勇気
  • 線としてとらえるのではなく、人生を点の連続なのだと考えてください。

*1:少し前に読んだフィンランド本でも似たような思想が流れていたなぁと思ったり

*2:おおおっっと思った言葉

海水と淡水の種の感受性分布の比較

Miina Yanagihara, Kyoshiro Hiki, Yuichi Iwasaki (2022) Can chemical toxicity in saltwater be predicted from toxicity in freshwater? A comprehensive evaluation using species sensitivity distributions. Environmental Toxicology and Chemistry. 41(8): 2021–2027.

日置さんと書いた急性と慢性の種の感受性分布(SSD)の比較に続き、柳原さんを誘って、海水と淡水で、急性毒性値をもとに推定した種の感受性分布の平均、標準偏差、HC5(95%の種が保護できる濃度)の比較を行った論文がET&Cに掲載されました*1。オープンアクセスです!日置さんと書いた別論文や竹下さんと書いた階層ベイズSSD論文でも査読者から、この海水と淡水の比較を突っ込まれることがあり、地味に需要はあるのではないかなと思います。前置きが長くなりましたが、結論はシンプルで、

  • 対数ベースで、淡水と海水の急性SSDの平均、標準偏差、HC5は大体1:1の関係にあった
  • SSDの平均とHC5については淡水と海水間で強い相関があり、それらの比は、解析対象とした104物質のほとんどで0.1~10倍の範囲にあった。
  • SSD標準偏差ではそのような強い相関はなかったが、淡水と海水の間での差異は比較的小さかった。
  • したがって、これらの関係を使えば、急性毒性には絞られるが、特に十分な数の試験生物種の毒性値がある場合は、淡水のSSDから海水のSSDを大凡推定することができる。

日置さんと急性と慢性SSDの比較論文を書いた後に、これ海水と淡水でもできますね、という話になって動き出した研究ではありますが、これまでの研究だと部分的な情報または限られた物質数での比較しかなく、個人的にきちんと整理できてとてもよかったと思います!

*1:最初からET&C提出でしたが、IF的にもうちょっと欲張っても良かったのかもしれません。いやまぁ、ボクはこれで満足なのですが…。

ブランディングとは愛されること

これもSNSで流れてきて気になっていた本。科学的根拠に不安を覚える箇所があったり、記述がに気になるところがあったのですが*1、著者自身の経験に基づくものとして読む限り、共感できる点も多く楽しかったです。「自分のことではなく、自分の愛するものについて語る」とかが一番面白かった。自己紹介とかで自分のことを理解してもらおうと自分のことを説明しがちなんだけど、確かに「自分の好き」と「相手の好き」が一致していたりすると共感を覚えて*2、より印象に残ったり興味をもってもらえたりということはあるように思ったり。この本で語られていることなんですが、今のSNSの仕組みとかまさにそんな感じだよなぁとも思ったり。このあたりの説明として、脳の部位の話が出てくるんだけど、このあたりがなんかボクにはすっと入ってこなかった(脚注1参照)。メカニズムはおいておいて、論理的な部分とそれでは理解できない(直感的な)部分があって、後者への訴えが大事だし、それを前提とすると、色々見えてくる世界も変わるでしょというのはその通りだなぁと思った。その他にも、付録「ものづくりを成功に導く7つの原理」とかは、『多様性の科学』とも繋がる部分もあって面白かった*3。。

ちなみに、転職とかを考えているわけではないです。出向を理由に少し一般書?を眺める時間を作ってみたりしている(あるいは、読書をストレス解消にしている)だけです。

*1:このあたりボクがよく知っていて根拠が足りないと言っているわけではなく、根拠があるかないかしらないけど、なんとなく安心して読めなかったというだけです。

*2:まぁでもそれは同じ大学出身とかのいわゆる経歴とかでもありえると思うけど

*3:てか、偶然だろうけどかなり同じ主張をしている

多様性の重要性

ちらほらSNSとかで流れてきてKindleで読んだ本。総じて多様性って、建前じゃなくてご利益大きいですよ、というのを理解するのにはよいと思う。一方で、読んでいるときは気にならなかったけど、そのデメリットにはあまり触れられてなかったような気もする*1
引用しながら、個人的にざっとまとめると(そのままの引用も含む)、以下の通り。

  • 一筋縄ではいかない複雑な課題や問題を考える上で、個人ではなくチームでの対処が重要で、多様性は重要*2
  • 世界の捉え方は根本的に共通しているという考えが主流だったが、そうではない(ので、課題や問題を捉える上で、認知的多様性が重要)。
  • 視点の多様化によって、解決策の幅が広がる
  • 同じような考え方の仲間に囲まれていると人は安心する(ので、多様性が低いと画一的な解に到達しやすい)
  • 問題が複雑になると、絶対的なリーダーがいるような支配的な環境が悪影響を及ぼす場合がある(上司の機嫌をとろうと、意見やアイデアを持ち上げ、多様性が排除される)。ただ、ある程度の(尊敬に基づく?)ヒエラルキーは必要。
  • 会議は壊滅的に非効率(という表現自体が面白い)
  • 心理的安定性
  • ブラインライティング(ブレインストーミングの匿名で意見やアイデアを書くバージョン)によって、意見やアイデアを匿名化して多様性を確保する。
  • 想像とは融合である。
  • 1人ではなく、ネットワークで人と人が繋がることによって、知識の融合や継承が起こって、イノベーションが起こる確率が高くなる*3
  • 大きなコミュニティに属すると、より狭い(似た者同士)ネットワークを構築する傾向がある。
  • SNSでもよく言われることだけど、世界が広がるほど、人々の視野が狭まっていく。
  • 有意義な話し合いをするためには、まず信頼の構築が欠かせない*4
  • 主導権を得て、モチベーションが湧く*5
  • 与える人が成功をおさめる。

などなど、まぁ改めて読むと、なんというか「いかにも」感はあるのですが、総じて勉強になりました。

*1:あるいは触れられているが、そこが気にならない書き方になっていたようにも思う

*2:多様性がどう定義されているかは失念

*3:これもっとちゃんと説明されていたような気がする。個人的にわりと腑に落ちて面白かった。一方で繋がるコストとかもあると思うけど

*4:二重過程理論とかが出てくる

*5:似たような話を新人研修のときに聞いた

ヘルシンキ 生活の練習

入院中の次男にトミカの差し入れをするためではあったりするのですが、近所に本屋さんがあり、何気なく並べてある本を眺めたり、「お、いいかも」と目にとまった本を手にとって読む、というプロセス自体が好きです。フィンランドはパヌがいるせいか、何度か行ったことがあるせいか、好きなのでついつい手にとってしまった。個人的にはもっとフィンランドの話…という気もしたのですが*1、等身大な「生活の練習」という感じでした。ちょくちょく出てくるフィンランド*2の異なる視点のコメント(というか日常の何気ない一言?)が「自分の思い込みを気づかせてくれて」いいなぁと思い、これが日本以外の国に住むこととの特権だなぁと思ったりしました。なんというか、やはり日本を出る選択肢とか個人的にはないのですが、もっと自由に考えてもいいのだなと思わせてもらったり。以下に気になった本文のごく一部転記。単にドライなだけなのかもしれませんが、なんとなく子どもも一人の人としてみているみたいな感じがしてよかった(というより、そういう区別すらなんとなくボクの思い込みなのかもですが)。

  • こちらの保育園では、「個人(岩崎注:こども)がサービスを利用する」という感じがして*3
  • 「才能」ではなく「スキル」
  • 「練習が足りているところ」と「練習が足りていないところ」があるだけだ。

*1:あと、これも単なる好みですが、著者の好みがやはりちょっと出ていて、いやボクが期待しているものはその話ではないとつっこみたくなったりもしましたが。まぁなんとなくそれも許してしまう文体という雰囲気もあるような気がしました

*2:とかいうとこれまた著者の意図の反しそうですが

*3:個人的に確かに保育園って親が働きに出る間に子供をみてくれる場所みたいなイメージがあったので、この発想自体が新鮮だったし、素直にそういう解釈の方が健全だなぁと思った

廃水の希釈が放流先河川の水生生物の状態に重要

Büttner, O., J. W. Jawitz, S. Birk, and D. Borchardt. 2022. Why wastewater treatment fails to protect stream ecosystems in europe. Water Research 217:118382.

久々にざっと眺めた論文。ヨーロッパ全体で、ecological statusと廃水の希釈割合の関係を調べた論文。前者は、highとgood、とそれ以外に分けて、後者はドイツの例をベースに?いくつかの仮定を置いて計算した値。3次以下の(規模の小さい)河川では、希釈割合がecological statusと関係していて(といってもばらつきはある)、ロジスティック回帰すると、6.5%を超えると、約50%の確率で、high及びgoodか、それ以外に分かれると推定している。そんなに目新しいとは思わないんだけど、こういう閾値っぽいものを広域でempricalに推定したのが評価されたという感じかなと想像します。一つのimplicationsとしては「放流場所を賢く選出すべし」。場を考えると廃水の質も重要になってくると思うので、実際に運用にどう繋がっていくかはいまいちピンとこないのですが、まぁでも「放流先河川の流量が大事ですよ」というのを広域かつデータで示したのがすごいということで*1

*1:なんというか、そんなことまでデータで出さなきゃダメ?という気にもなりますが

英語の発表

国外の方を対象に、久々に英語で約1時間ほど発表するという機会があった。オンラインなので逐一の反応がわかんないのが残念なんだけど、終わった後に自然と出てきた拍手アイコンから想像するに、少なくともある程度の人は理解して楽しんで?くれたのではと思いたいところです。
1時間も喋るとなると、カンペの準備は諦めて、各スライドの入りの部分だけメモして、少し流れを復習して、という感じで準備したのですが、なんとかなって良かったです。まぁ自分の出来がいまいち自分では判断できないのが難しいところではあるのですが。。。
手を挙げるボタンも使ったのですが、挙がっている手の数のカウントが地味に煩雑だったので、数のカウントがテキトーになったのも申し訳ないところではあります。
マニアックな話題だけど、質問もいくつかくれて、ボクも日本の状況との違いを実感できたり、個人的にも良い刺激になりました。自分の課題(自分の知識で取り組む必要があると思う課題)に取り組むのもいいんだけど、対面のイベントが減って、自分と異なる意見や状況に触れる機会が減っているだろうなぁとも改めて思いました。