なんか身内みたいな気もするのですが、これ名著じゃないっすかね。野外生物調査から制御できない要因の影響を見たい人はみんな読んで、因果ダイアグラム書いて、バックドアパスを閉じた解析をしましょうよ、という感じ(含む私)。バックドアをどう閉じるかの説明とかも具体的にあって、結構読んでても勉強になった(気がする)。Basinは閉じれるけど、UrbanizationやEconomic activityはそもそもそれを表す変数が捉えづらいので、~と~などで閉じるとか(で、完全に閉じれてない可能性もあるので、そのあたりも考察で議論するとか)。バックドア基準自体は、林さんの説明を聞いてなかったら多分テンデだめだったと思うので、そのあたりの補足や普及をどうしていくのかは大事だなと思いました。ちょっとくどいかなという説明もあるけど、それも林さんらしさ?という気がします*1。
余談的なコメントとしていくつか。
- Mさんの論文を痛烈に批判しているのが、ボクは印象的でした。過去のブログでも紹介していますが、このあたりはボクも大変同意*2。
- EPT以外でもきちんと評価しようぜという考察は、気持ちはわかりますし、ケースバイケースかと思います。別にEPT推しではないのですが、複数の流域や河川を対象に調査する場合特定の種に絞れば(例えば、感受性の高い貝にしますとか)在不在が大きくばらつきますし*3、トレードオフな気がします。そういうのを考えると、あくまで指標としてEPTを中心にみるというのは悪くないと思っています(私感)。
- 一般的にどれを調べたらいいの?という疑問に(部分的に)答えられる論文が最近ET&Cに受理されたので、そのうち紹介できればと思います*4。
- 流速がurbanizationの下流にあるか?は、個人的には、単に流程変化じゃないかと思っています。これ個別にデータを見たわけではないので、想像ですが、例えばNickelの濃度が多くのBasinで下流の方が高い場合、下流は勾配が緩く川幅が広くなって流速が遅くなっているという可能性はあるんじゃないかなと思います。
- 結果論として、こういう成果にもなり、良かったとは思うのですが、この調査計画自体がやはりちょっといけてなかったと言わざるをえないかなと思います。例えば上のような環境条件の相関が起こるのは、調査計画段階からある程度予測できたでしょう。流速の問題とかも現地で少しいい場所を探せば解消できた可能性はあるのでは?と思ったりします。このあたり計画に関わった人が誰かわかりませんが、実施主体(あるいはそれを請け負ったコンサルさん)がこのレベルの計画しか組めないのだと仮にするのであれば、ちょっと個人的には危惧が。。という感じです。あくまで仮定に想像を重ねていますので、杞憂だと信じます。一方で、実際に頑張って制御しようとしてできなかったというのはあると思いますので、このあたりが野外調査の難しいところです。自戒の念もこめて。
- あと、使った生データは全部付録につけてほしかった。これ残念。