Schmidt TS, Van Metre PC, Carlisle DM (2019) Linking the Agricultural Landscape of the Midwest to Stream Health with Structural Equation Modeling. Environ Sci Technol 53: 452-462. DOI: 10.1021/acs.est.8b04381
TravisのES&Tの論文。藻類,底生動物,魚類の調査データをそれぞれ1つの指標にして,水質,物理環境,土地利用なんかの影響を調べた研究。ある種,王道なんだけど,方法やDiscussionも含めて総じて勉強になる*1。まぁ,この研究でも色々えいやで変数を絞りだしているんだけど,よく考えた上でのひねり出している印象を受ける。Darenさんも共著者。個人的に興味深いのは,この調査自体は色んな人が関わっていて別途それぞれ論文になっているんだけど,それを統合したこの論文では選び抜かれた3人という感じ?になっているところ*2。以下はいつも通りメモ。
- すでに公開されている各調査の論文も含めて,USGS+EPAデフォルトの調査方法みたいなのが探れそう。
- SEMは一度やってみてもいいかも。ただ,この調査自体は調査地点の選定からかなりよく練られている印象*3。
- 生物調査を実施する前の数週間数ヶ月前から水質測定を行っている。
- 生物学的健全性を評価するために,Multimetric indexをそれぞれの分類群で計算している*4。一方で,指標が何を意味しているかは不明なので,どうしても結果の考察は曖昧にはなる。
- SEMのモデル構築は結構細かく書いてある*5。
- 藻類,底生動物,魚類で影響要因が異なってくるのも面白い。魚類は水質(殺虫剤や除草剤系)は重要な変数にならずに,より広いスケールの変数が重要になってくるなど。
- 三つの分類群でそれぞれ違う要因の影響を受けていて,"each community embodies unique aspects of ecological health that cannot be quantified by simplifying ecological health into a single metric"とかもまぁその通りですよね。という示唆。
- 考察で色々パスについて考察しているけど,省略。ここまで言えるのか?と思いつつも,ざっとしか読めてないので深いコメントできません。
- どのストレッサーが重要かという問いに,一つの回答はない。色々。でもここで見えてきたパスを考えると対策は考えられるでしょう。という話。あくまで調査対象地点全体の話ので,そのあたりがちょっと物足りない気もするけど,まぁそれがこういう研究の落としどころになるのは仕方ないと思う。