A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

This is a serious loss (Peter Chapman)

9月末にPeter Chapmanが亡くなられたらしい。信じられない。EcotoxicologyというかEcological Risk Assessment文脈の人じゃないと*1,「誰やねん」という感じかもしれないけど,ボク的には,SETACで会った「めっちゃイケてる人」の一人。Peter Chapman Obituaryというのがネット上にできているので,略歴とかは見られたりします*2。なんで亡くなったのか,原因はわかんないけど,Joeが言っていたように,ジムに行ってるだろうなぁという so fitな感じで,いかにも健康そうでした。それだけに信じられない。


ボクは,Chapmanを初めて見たのは,D1の時に参加したSETAC モントリオールだったと思う*3。何を話していたかは忘れたけど*4,英語できないなりにも,面白さと「こいつできる」感は伝わってきたんだと思う。ボクがこのブログでChapmanの論文を紹介したことも多々あって(これとかこれとか),どちらかというPerspective系のが多いんだけど,なんというか教育的なものとか批判的なスタンスのものが多くておもしろくて勉強になります。Chapmanに多分数回話かけたことがあるくらいで*5,長い会話をしたことはないです。


じゃあ,なんでこんなにもChapman愛があるのかというと,人としても論文も愛すべきでおもしろいというのもあるのですが,何度かメールはやりとりしていて,そのときの対応がなんというか人間味があってボクの好みであったという理由も大きいかも。

最初にメールしたのは*6Iwasaki, Kagaya, OrmerodでIntegrated Environmental Assessment and ManagementのLearned Discorsesに短い意見論文を書いたときだと思う。まぁ実質印刷版で1頁あるかないかの原稿なのですが,投稿した次の日に「I have edited your ms to reduce its length and number of references to fit the typical Learned Discourse. Hopefully in doing so I have not lost any of your message. Please take a look.」と送られてきたり*7Hansonさんと書いた同じ意見論文も,投稿後「happy to accept. Did some light editing」と2時間半後で返ってきて,「Young researchers like you are the future; at my age (almost 62) my most satisfying role is doing what I can to promote the future. Thanks for a very nice ms, see you at SETAC in Long Beach? Best, Peter」というやりとりをしたり。忙しいのにメールのレスがはやくて*8親切で,encouragingなのです。


IEAMのLearned DiscorsesのEditorを次に誰がやるとか,Chapmanみたいな啓蒙論文を誰が書くとか,本質的なことじゃないかもしれないけど,やっぱりそうやって環境毒性化学な分野に継続的にかつ刺激的な貢献をしてきた人だと思う。ほんとに残念です。WillがThis is a serious lossだと言っていたけど,ほんとにそう思う。海外の知らない誰かの死をここでこんなに悲しんだのも,初めてかもしれない。科学的な知見もそうですが,陰ながらボクはあなたから沢山刺激ややる気をもらったように思います。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

*1:そうだったとしても誰やねんかもしれんけど

*2:JimがPeterは謙虚だと言っているのが,ボクの印象とずれていて,個人的におもしろかった。

*3:記憶はかなり曖昧。なんとなくかなり最初の方から目についていたという感触があるだけ

*4:そもそも発表なのか質問しているとこなのかも不明

*5:ほぼ,こんにちは,ただあなたに挨拶したかっただけなんだ,というしょうもない話だったと思いますが

*6:見返してみると,その前にIwasaki et al. 2011の個体群モデルの論文の別刷くださいメールがChapmanから来ていた

*7:でそのEditがまたイケている

*8:Joeはlightning-fast responses to e-mailsと表現していた