A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

DeForest D.K., et al. (2011) Protectiveness of water quality criteria for copper in western United States waters relative to predicted olfactory responses in juvenile Pacific salmon. Integr. Environ. Assess. Manag. 7:336-347.

この論文を書いた人の新しいやつ*1。サケの幼魚のolfactory(嗅覚)への銅の影響をモデリングしたBLMがあって(Meyer and Adams 2010),そのモデルとモニタリングされている水質測定結果を使って,米国の2つの水質クライテリアのprotectivenessを調べた研究。結果は,硬度で補正した水質クライテリア(古いversion)はprotectiveではない場合があるけれど*2,BLMベースの水質クライテリア(2007年に改訂されたやつ)は常にprotectiveなので,後者を使った方が良いだろうというお話。モデルだけで,よくここまで,という感じもしますが,ちょっと元の論文まで読まないとこの妥当性についてはなんとも言えないです。。
個人的におもしろかったのは,Table 1に,対象とした州において,銅の水質クライテリア(硬度補正版)を計算するためのパラメータが載っていて,これが微妙に違っていて,おもしろい。こういう仕組みになっているんですね。てっきり,ここにある計算方法を天下り的かつ画一的に利用しているだけかと思いました。
あと,著者は個体群の議論もしているヒトなのに,一方でこういう話もするんだなぁと。この研究で使われているエンドポイント(IC20)が個体群レベルでも重要な意味を持ってくるのかもしれません*3

*1:著者リストをよく見たら,IZAのEricさんも入ってます

*2:DOC濃度が重要のよう

*3:これに関する定量的な記載は本文にはない