Biotic Ligand Model(通称,BLM)というモデルが重金属の毒性の分野では有名なのですが,なんとなくのイメージは知っていながら,中身はよく理解できていなかったので,関連論文を真面目に読んでみました。優しいイントロとは言えないとは思いますが,日本語ではまずは,
加茂将史, 林岳彦 (2011) 金属の生態毒性予測モデル: Biotic Ligand Modelの発展史と展望 環境毒性学会誌, 14, 25-38.
を読めば,イメージが掴めると思います。基礎となる反応式も書いてあって,自分で導出過程を追うことができます。同誌にある,永井さんの総説も合わせて読むと良いかもしれません。
永井孝志 (2011) 環境水中重金属のスペシエーションと生物利用性 環境毒性学会誌, 14, 13-23.
上の加茂・林論文を読んでも,安定度定数(平衡定数)をどうやって推定しているのか,よくわかりません!という人は*1,以下の論文が良かったです。こちらも式の展開が書いてあって,なるほどなと思わされます。
De Schamphelaere KAC, Janssen CR (2002) A biotic ligand model predicting acute copper toxicity for Daphnia magna: The effects of calcium, magnesium, sodium, potassium, and pH. Environmental Science & Technology, 36, 48-54.
以上が結構最短のアプローチではないかなぁと思ったりします。あくまで初期の理解を進めるという意味ですが。メモとして,マニアックかも知れませんが,De Schamphelaere & Janssenでは,「イオン強度による安定度定数の補正はしていません」というのも書いてあったりします*2。