A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

えらくたいそうなタイトル。中身としては,主にビジネス想定の統計解析全般の分かりやすい紹介という感じ*1。個人的にそんなに目新しいことは書いてなかったですが,例えば,ニューラルネットワークの「途中の計算はよくわかりませんが,顧客の購買金額を予測できるプログラムが書けました」なんて説明など,付与されている説明が分かりやすかったです。以下個人的メモ。

  • p値は0.05未満で…的な話で終始していましたが,もうちょっと丁寧でも良かったのかも。
    • 例えばエフェクトサイズの話などを入れたり。まぁでも,入門本としてはこんなもんでいいとも思います。
  • 統計処理に対する分野間の意識(認識)の違いはおもしろかった。
    • 工学と生態学で感じてることのように,こういう話はあるんだろうとは思っていたので,おもしろかったです。例えば「疫学者や生物統計家は,帰納によって一般的法則を導くと言っても,「どうせランダムサンプリングなどではないし,誤差だって含まれているし,別の集団でこの回帰係数が丸々一致するかどうかわからない」と,一般化の部分に関しては比較的謙虚である。あるいは一部の計量経済学者に言わせると「臆病」ですらある」。
  • その他
    • p155のところのまとめの記述はちょっと附に落ちなかったって感じ(別のまとめ方があるような気がするので,あえてこうしなくてもという感じ:詳細は割愛)。
    • 心理統計家は質問紙の作成に命をかけるので,それがアンケートと呼ばれるのを嫌うってのもおもしろいし。程度の問題はあるにしても,本来はそういうアンケートの取り方をしないといけないんだろうと思った。
    • IQの中身なんて考えたことなかったけど,因子分析あたりからきているようなことが書いてあって,おもしろかった。よく考えたらわかるんだろうけど,あーそういう結構グレーなもんなのかぁと。
    • ちょっと最後の「みんな!英語の論文も眺めて,エビデンスを探しましょう」提案みたいなのは,ちょっと敷居が高いきもします。
    • 著者の西内さんは,81年生まれみたいなので,ボクと多分同じ年代。すごいですねぇ。

*1:全然そのあたり詳しくないですが