A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Syberg, K., Elleby, A., Pedersen, H., Cedergreen, N. & Forbes, V.E. (2008) Mixture toxicity of three toxicants with similar and dissimilar modes of action to Daphnia magna. Ecotoxicology and Environmental Safety, 69, 428–436.

T大のYさんから教えて頂いた論文。よく考えて見ると,この手の複合影響を調べた論文をきちんと読んだことはなかったかも,ということで勉強になりました*1。isobole methodという方法を使って,相加,相乗,拮抗,CA(concentration addition), IA(independent action)あたりを議論している感じ。個人的には,IAから,一方の化学物質の濃度変化が他方で見た時のEC50をほとんど変化させない状況,が導き出せるのがおもしろかった*2。式(Eab = Eca+ Eca- Eca*Ecb)の性質からいって,一方の化学物質の影響が0でなければ,Mixtureの時の影響(Eab:死亡率とか)は大きくなることになります。


ちゃんと理解していないのですが,この論文のFig.1にあるIAのような状況は((とここで書いても誰もわからないのですが),)個々の物質についての濃度反応関係の傾きが急であれば,あるほど起こりやすいのかなぁと思いました。実際にTable 1から濃度反応関係を描いてみると(下図),結構傾きはシャープです(ただまぁ横軸は対数ですし,シャープかどうかの判断は主観的な判断で,もうちょっと検討が必要です)。いずれにしても,勉強になりました。


しかし,毒性試験結果からの複合影響の解釈はきちんと整理しておかないと,「ある種の統計解析しました,でちゃんちゃん」みたいな感じになりかねないですね。本質的な議論ができるといいのですが,やはり難しいのでしょうね。かといって,今まで通りにやっても,知識が建設的に増える気がしない。。さて,どうするべきか,ってみんな悩んでいるところでしょうか(想像)。

*1:個体群モデルで有名なForbesさんも最後にいますよ!

*2:ちょっとまだ少し疑問には思っていますが