A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

学んでみると生態学はおもしろい (BERET SCIENCE)

学んでみると生態学はおもしろい (BERET SCIENCE)

伊勢さんの本を読了。感想みたいなものを書いておきたいと思います。ボクが伊勢さんと会ったのは,大分前に仁科さんの主催したモデル勉強会*1でした。もうどうしてそう思ったのか不明ですが,「この人おもろそう」と思ったのは間違いと思います*2。ということで,ある意味単なるファンなので,結構正のバイアスがかかっていることでしょう。ということで,感想。

  • 大変良かった。ボクが言うのはなんですが,特に,入門書を探されている方におすすめだと思います。
    • 読み物として,とてもすらすら読めました。伊勢さんらしい文体?も良かったと思います。本人がわかりやすさを自負しているだけあって,かなりわかりやすいと思います(といっても,微分方程式とか出てくると,ダメな人はダメでしょうね。。*3)。
    • 生態学会出てたりするのですが,お恥ずかしながら実はあまりちゃんと基礎を勉強したことがないので,用語の説明とかも分かりやすくて良かったです。軍拡競争とか適応拡散(放散)とか。生物地理区とか。
    • とにかく,こういうまとまった本を書けるというのがすごいと思う。
  • 生態学のイメージから,"物質循環"が敬遠されがちというのは,個人的にはちょっと意外でしたが*4,まぁ言われてみればそうかもしれません。
  • 実は,生態学会の発表ネタに少し使った。
    • 生態学は「生物と環境の相互の影響を考える学問です」というあたりの話を読んで,あー,そういう文脈でEcotoxicologyを説明しようと思って直前に発表スライドを修正した次第です。
  • 誤植など
    • 図,特に写真がそんなに綺麗に見えない。例えば,図9-6,とか図9-7)が見づらいのが残念。
    • 図10-1:本文中の説明に,第1とか第2とかがあるけど,図にそういう記載がない。

*1:A Practical Guide to Ecological Modellingの輪読会

*2:いわゆる,びびっときた系の人。ゆるい感じの雰囲気と裏はらに,"数学"ができるというのも良かったのかもしれません。すごくフランクに接してもらえるので,かなり長いこと少し年上くらいかと思っていましたが,10歳くらい上でかなり驚いた記憶もあります。

*3:あと,アイソクラインのところはそういう人にはさらにハードルが高い気もします。いやもちろん,かなりわかりやすく書かれているのですが,ここはもうちょっと工夫があるといいかもしれません(具体的には何か案があるわけではないのですが。。)

*4:生態学会の中では,それでも全然メジャーな分野だとボクは思っているので