A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

林さんも共著に入られている論文(HERAのPerspective)。気持ちは分かるけど,まだForbesが言っていることにピンと来ないところもある。

  1. IBM(個体ベースの個体群モデル)がどれくらいまともに使えるかとか,
  2. やはり複雑にはなるので,データの利用可能性の問題はあると思うし,
  3. 個体群モデルを組めば確かに絶滅リスクやλは計算できるけど,それがどんだけ信頼に足るものなのか*1

化学物質の生態リスクの文脈で,個体群モデルが重要なのは分かるし,ボクも論文を書いているので偉そうなことはいえないけど,この論文が意図しているところの「個体群モデルの利用」とボクの思っているところは少し違う気がする*2 *3

Forbes et al. 2011. Adding value to ecological risk assessment with population modeling. Hum Ecol Risk Assess 17:287–299.

*1:例えば,保全生態学の枠組みでは,多分順応的管理の枠組みの中で個体群モデルは使われているんじゃないだろうか。規制を考えて化学物質の場合,多少やりっぱなしにはなると思うので,モデルの精度の問題は結構重要になるような気がする。

*2:偶然の呑み会の席ではあるが,生態学会で北大のTKDさんとお話しできたのは良かったと思う。

*3:後,短期的に環境中に出てくる化学物質(農薬)と比較的一定で年間を通じて環境中に出てくる化学物質,どちらを念頭に置いているかの違いもあるかもしれない。農薬ならEUでmesocosmが沢山?やられているみたいだし,それを利用すればモデル化は可能なのかもしれない。