A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

学振PDの職員寮への入居の可能性と健康診断

以下,ボクが現在の所属宛に書いた問合せメールです。暫定的に公開してみます。なお,念のため,大学名等の情報は削除しております([]で示した部分)。また,これを公開することは別に所属大学に対する当てつけではなく,あくまで現状を示すためです。これらをどう解決するか(あるいは解決しなくてもよいかもしれない)は,難しい問題だと思います。

-ボクの問合せ内容

ご担当者さま

いつもお世話になっております。[職]の[名前]と申します。
大変僭越ではございますが,下記の要望をお送りさせて頂きます。
なお,適切な問い合わせ場所を他に見つられなかったため,こちらにご連絡差し上げることと致しましたが,より適当な問い合わせ先がありましたら,ご教示頂ければと思います。また,早急なご対応を希望するものではなく,長期的にでも下記の要望を検討して頂ければ大変有り難く存じます,という趣旨のものです。


まず,詳細に立ち入る前に,本要望を端的に申し上げますと,日本学術振興会の特別研究員PDの職員寮(特に,独身寮)への入寮を検討して頂けないでしょうか,というものです。


私は今年度4月より上述の[職]として,[大学]にて働かせて頂いております。加えて,大変有り難いことに,当該身分は職員寮への入居が可能とのことで,同じく4月より寮にて生活をしております。寮は,管理費込みで月々[数]万円程度の支出で入居できるため,私のような職の不安定な(任期付きの)ポスドク研究員にとっては,大変有り難い選択肢であると感じております。この場をお借りして,このような居所を博士研究員に提供して頂いていることに,感謝申し上げます。


一方,私事ではありますが,来年度から日本学術振興会の特別研究員PD(以下,学振PD)への内定が決まりました(特別研究員の詳細はhttp://www.jsps.go.jp/j-pd/index.html をご覧下さい)。なお,特別研究員としての私の所属は現在と同じで,変更はありません。[一文省略]。他方,身分が変更となるため,来年度における寮への入居の可能性についてグループの方に問い合わせましたところ,基本的に「[大学]採用ではないため,寮への入居はできない」との回答を頂きました。本回答にありますように,学振PDは大学または日本学術振興会とは雇用関係にはありませんので,寮への入居はできないという趣旨は制度上,十分理解できるものです。

しかしながら,学振PDという立場は通常のポスドク研究員と同様,将来の職が保証されたものではなく任期付きの身分です。そのため,前述しました寮のような下宿先の方が経済的な負担が小さく,入寮可能であれば希望する方も少なくないと思います。さらに,研究活動を自由に行える学振PDは海外で中長期的に研究を行うことも少なくなく,敷金礼金が必要で家賃の高い通常の賃貸物件を転々とする必要が出てきます(あるいは,海外渡航中も日本の下宿先の家賃を支払う)。したがって,このような場合も,敷金礼金が必要なく家賃が安く寮への入居は,このような負担を大きく軽減させることができます。また,大学との雇用関係はないとはいえ,その[学振PDの]業績は所属機関の成果にもなりますし,所属研究室の学生の指導等も担当することになります。すなわち,大学への貢献度合いも少なくないと感じております。


他方,寮の利用状況についてですが,私が現在住んでおります寮は,空室となっている部屋が少なくありません。すなわち,利用可能な部屋数も比較的あるように思います。


ここまでをまとめますと,学振PDという身分は雇用上複雑な立場であることは十分承知しておりますが,もし特別研究員の入寮が可能になれば学振PDにとってその利点は非常に大きいと感じております。他方,入寮による経済的・精神的負担の軽減は,より円滑な研究活動を促進し,大学の成果としても繋がると期待できます。すなわち,大学にとってもメリットは大きいと考えられます。


以上,雇用して頂いている側の小生がこのようなお願いを申し上げること自体,大変恐縮ではございますが,「日本学術振興会の特別研究員PDの職員寮への入寮」を検討して頂ければ大変有り難く存じます。


また,こちらは事実確認しておりませんが,学振PDでも4月の健康診断を受けられるようにして頂くことも合わせて検討して頂ければ大変有り難いです。例えば,京都大学では,学振PDでも受診可能のようです。 http://130.54.245.7/student/fellow-old.html


お手数をおかけいたしまして,大変恐縮ですが,何卒よろしくお願い申し上げます。


-職員寮に関する部分の問合せに対する回答

お世話になっております。[所属]の[名前]と申します。


ご質問いただいた件ですが、すでに当グループの担当からご説明させていただいておりますが、宿舎の目的は「本学役職員の職務の能率的な遂行を確保し、もって大学の業務の円滑な遂行に資すること」と定義されています。


よって、再三ご説明させていただいておりますが*1、①役職員が入居できる、②大学の業務上必要な場合に限り入居することができるという二つの要件を満たさない場合、入居は認められません。


様のおっしゃる宿舎入居は「学振PDにとってその利点は非常に大きいと感じております。」というところが「大学の業務上の必要性」になるのかというところと、また「入寮による経済的・精神的負担の軽減」という部分は、あくまで個人の理由であり、宿舎の本来の目的とは違ってくるからです。宿舎は、そもそも役職員の福利厚生施設ではないからです。
確かに
寮には空室がある状態ではございますが、会計検査院等の指導もあることから大学として、宿舎そのものの運用については、今後検討していくことになるかと思います。


ただし、他機関と雇用関係がなくても、研究奨励金等をいただいている方等を入居させると、結局「大学に貢献する」という名目がつけば、民間の研究員でも、宿舎に入居出来ることになってしまいます。宿舎については、大学の経費から維持管理・修繕費等を負担しております。そこで、民間の方や、雇用関係がない者を入居させた時に大学そのものの設置目的からすると、法人法等に抵触することにもなりかねません。
よって、宿舎という使途がある以上、学振のPDの方を入居させることは難しいのです。


長くなりましたが、宿舎の設置目的等をご理解いただければと思います。
[]様から頂戴したご意見は、今後の宿舎管理運営に参考とさせていただこうと思います。

-職員寮に関する回答に対するボクの返答

この度は大変お世話になっております。[名前]です。
お忙しいところ,早速ご返信頂き,誠にありがとうございました。


要望書に記載致しましたように,「すぐに入居を認めて頂きたい」といった早急ご対応をお願いするものではありませんし,現時点の制度上,不可能であることは理解しているつもりです。このような要望書を提出しておくこと自体に意味があるかもしれないという理由で,お送りした次第です。
したがって,私から特段のコメントありませんが,ご参考までに,以下の意見ををお送りしたいと思います。


> 宿舎入居は「学振PDにとってその利点は非常に
> 大きいと感じております。」というところが「大学の業務上の必要性」に
> なるのかというところと、また「入寮による経済的・精神的負担の軽減」
> という部分は、あくまで個人の理由であり、宿舎の本来の目的とは違って
> くるからです。宿舎は、そもそも役職員の福利厚生施設ではないからです。


今年度行っている業務と,来年度学振PDとして行う業務は,身分が異なるだけで,実質的にはほとんど変わりません*2。したがって,「大学の業務上の必要性」という側面からのご指摘は実質的な側面からみると,ほとんど意味がないと思います。


> ただし、他機関と雇用関係がなくても、研究奨励金等を
> いただいている方等を入居させると、結局「大学に貢献する」という
> 名目がつけば、民間の研究員でも、宿舎に入居出来ることに
> なってしまいます。


民間企業の研究員と,学振PDは立場が大きく違うと思います(例えば,任期の有無)。また,学振PDのような,正式な雇用主が存在しない立場の研究員は,日本では,皆無といって良いと思います。実現可能性はまったく分かりませんが,単に,学振PDのみを特例とするなど,対処方法はそんなに煩雑にはならないようにも感じます。


事実として,先の要望書に記載しました住居費用の負担の大きさを指摘される学振PDの方は,私の知る限り,少なくありません(特に,海外で複数回の短期滞在を希望する場合)。しかしながら,私の要望は,学振PDだけに都合の良すぎる話にも,感じます。そのため,[]さまがおっしゃられていますように,必要に応じて,今後の宿舎運営管理の参考にしていて頂ければ,私は特段異論はありません。


大変お手数をお掛け致しまして,申し訳ございませんでした。


-健康診断に関する部分の問合せに対する回答

[所属]の[名前]です。
[要望書提出先]に、ご質問いただいた件で、担当する健康診断部分についてお答えいたします。


本学の定期健康診断は、労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しておりますので、大学との雇用形態がある正規職員及び週30時間以上の非常勤職員が対象です。いわゆる大学から給料が出ている方のみですので、申し訳ございませんが、本学の定期健康診断は、受診出来ません。
また、特殊健康診断も従って、職員としては受診出来ません。


私は、以前JSPS特別研究員も担当しておりましたので、内容等把握はしております。
このような希望・要望・質問等については、学振の特別研究員の募集や採用などの大学の窓口を通じて(本学では、研究支援の窓口である[]グループですが)お尋ねいただければ幸いです。)


-健康診断に関する回答に対するボクの返答

お忙しい中,下記,ご連絡ありがとうございます。
ある意味,長期的な要望をと思い,[要望書提出先]を利用致しましたので,状況は把握しておりますし,特に異論はありません。


> このような希望・要望・質問等については、
> 学振の特別研究員の募集や採用などの大学の窓口を通じて
> (本学では、[]グループですが)お尋ねいただければ幸いです。)


承知致しました。
お手数をおかけいたしまして,大変申し訳ございませんでした。

## 追記20120701 健康診断について
どうやら,横国大は学振PDでも健康診断を受けられるようになったようです(人伝の情報)。今いる東工大は以前,変化無しです。少しずつ変わっていくといいですね。

*1:著者注:ボクが個人で事前に行った問合せと,受入教官による問合せ,ですでに2回問合せを行っているため,このような表記になっていると思われます

*2:後記:表現が正確ではなかったかもしれません。研究内容は変わりますが(ボクの場合,全部が変わるわけではない),学生との関係やゼミへの参加等の状況は変わらないという意味でこう書いた次第です。