A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Your ES&T Viewpoint article

某S先生からのメール。やっとレスを頂けただけでなく*1,とっても嬉しいので自己満のために訳しておく(だいぶこなれない感じの訳になってしまいましたが…)。正確には,ボクとWillの記事なのですが,読みやすさ重視で,「あなたの記事」としておきます。しかし,思い切って訳してみたけど,かなり苦しい感じです(翻訳って難しい)。

Dear XXXXX,

まず,最初に,最も重要なことですが,謝罪します。私はあなたの記事を読むよと言ったけど,読むことができませんでした。ごめんなさい。幸運にも,そして賢い選択ですが,あなたは原稿を投稿し,受理されて,出版されました。


さて,本題の,あなたの記事へのコメントです。私はあなたの記事はとても良いと思うし*2,書いていることを完全に支持します。多分あなたは気付いている通り,年をとるにつれて,そして知識を得るにつれて(でも,これは確実ではないけど),私がよく言う「bigger picture」と呼ぶものに興味を持つようになりました。ほとんどすべての生態毒性学(の研究)は,化学物質Aが生物種BのエンドポイントCに及ぼす影響を調べています。すなわち,例えば,ある人は,パラセタモールがミジンコ(あるいは魚)のある限られた組の遺伝子の発現に影響を及ぼすかどうかを調べるために,室内毒性試験を行うかもしれません。生態毒性学の文献は,そんな研究でいっぱいです。その一部には私も貢献しています!しかしながら,そのような研究は,一連の本質的に哲学的な問題を提起します。そのうち重要な問題のうち,3つは,

  1. その化学物質(上の例では,パラセタモール)は,環境中において最も危険な化学物質なのか?
  2. それらのエンドポイント(いくつかの遺伝子)は,最も感受性が高く,妥当なエンドポイントなのか?
  3. 対照とした生物種(ミジンコあるいは魚)は,その化学物質に対して最も感受性の高い種なのか?


生態毒性学者が研究を行う前にこれらの問題について考えているか,と言われれば,ほとんど研究においてほぼないと言えるだろう*3。もし,なぜ彼らが「なぜそれを研究したか」と問われたら,彼らはその質問に答えることができないこともしばしばあるだろう。


あなたのViewpoint記事は,3番目の問題にもある程度指摘していると言えるが,主にこれらの3つの問題のうちの2つ目を扱っている。そして,もう一つの非常に重要な問題,すなわち,私たちはどのようにして化学物質の影響から環境をベストに守るべきのか*4という問題だけでなく,どのレベルの保護(保全)が許容可能か,という問題についても指摘している。


私は,これらの”高いレベルの”問題を問い,答えようとする記事の出版を強く支持します。あなたの記事で言及されているように,私たちはそれらの問題に答えを持っていないかもしれません,そして,もし持っていたとしても,おそらく異なるグループの人々は異なる答えを持っているでしょう。しかし,だからといって,それは,これらの哲学的な問題を公にすべきではない,ということにはなりません。むしろ,そうすべきです。そうすることによってのみ,それらについてより多くの科学者が考えるようになるし,限られた資源(例えば,人や予算)をその大きな課題にフォーカスすることができます。その大きな課題にフォーカスすることによって,私たちが使用している非常に多くの化学物質から環境を適切に守る機会を最大化することができます。


どうぞ,これからも深く考え続けてください。そして,この記事のような記事を出版し続けてください。


All the very best,


XXXX

*1:Tさんのお陰です,ありがとうございます

*2:I liked it a lot

*3:訳が微妙:There is relatively little evidence in most ecotoxicological studies

*4:訳が微妙:how we should best protect the environment from chemicals