A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

水生昆虫を用いた伝統的な金属の毒性試験が不適切な4つの理由

Poteat, M.D. & Buchwalter, D.B. (2013) Four reasons why traditional metal toxicity testing with aquatic insects is irrelevant. Environmental Science & Technology, 48, 887-888.

DavidさんらのチームのViewpoint,水生昆虫を用いた伝統的な金属の毒性試験が不適切な4つの理由。Davidさんらが何を考えているかよく分かっておもしろい。4つの理由は:

  • 組織中の金属濃度が定常状態になるまで非常に長い時間がかかる
    • 急性毒性試験では96hとかだけど,実験値から計算してあげると,3つの分類群でメディアンが50-405日かかる。
  • 伝統的言われている溶存の急性毒性メカニズムは,どうも水生昆虫に適用できなさそうである
    • apical surface(エラの表面?あるいは体表面?)でCaとZnやCdの競合がほとんど起こらないようだ。
  • 餌からの金属負荷が,水中溶存金属よりも大きい。
  • 餌起源の金属の方が水中起源よりも生理的に活性が高いかもしれない。

いずれも同チームの実験結果から示唆・推察されるとのこと。ボクにはできない研究なので,懲りずに追っていきたいです。Poteatさんとも一度会ってみたい。