A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

メモ。金属の複合影響を考える場合,伝統的には実験室ベースの急性毒性試験が使われている。例えば2つの金属について生存率への影響を考えているとすると,解析は,各金属についてLC50*1を求めて*2,そのLC50から50%の死亡率が予測される組合せの複合曝露の実験を行い,拮抗,相加,相乗の影響かどうかが議論される。例えば,(Concentration of Metal1 / LC50 for Metal1) + (Concentration of Metal2 / LC50 for Metal2) = 1であれば,複合で50%の死亡が予測される濃度。


これにはメリットがもあるが*3,いくつか重要な問題があると思っている(これが実際に問題視されているかは不明ですし,ちゃんとレビューしたり考えたわけではないので,いくつかの問題は杞憂かもしれません)。列挙すると

  • 推定されたLC50のばらつきは無視される
  • 50%の死亡に着目されており,例えば,毒性がどの濃度から出てくるか?といった情報は考慮されない(単純に比例関係が仮定されていることになる,この仮定でうまく説明できているかは,要確認)
  • 生存"率"の値を用いて,正規分布を誤差とした解析が用いられる。

じゅあ,どうする方が,良いのか。とりあえず,生存であれば二項分布GLM(あるいはそれに付随する分布のGLM)を用いて,重回帰のような枠組みで回帰分析するのが良いんじゃないかなぁと思っている。例えば,個別の金属の毒性試験結果と複合の試験結果に対して,それぞれ回帰分析をする。切片はいずれのモデルでも濃度0のところなので,等しくなるべき*4。拮抗・相加・相乗をどう判断するかとなると,複合の試験結果の解析にMetal1*Metal2の項を加えてモデル選択とかその有意性を検討すれば良いはず。この方法を使うと,既存の解析方法とどう結果が異なるか,が気になるところ。publishされた結果を使うか,どなたかデータを提供してもらえませんか*5

*1:実験した生物の半数が死ぬと予測される濃度

*2:必ずしも50である必要ではないけど,これが利用されていることが多いと思う。多分

*3:LC50はいろんな研究で求められているので,それを利用することが可能

*4:と思うのですが,もしかするともう少しややこしいかもしれません

*5:できれば,複合影響の試験も50%の生存が予測される濃度の組合せだけではなくて,個別の試験と同じ濃度幅で色々な組合せをやっている方がいいですが。。