A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Brix et al. 2011. The sensitivity of aquatic insects to divalent metals: A comparative analysis of laboratory and field data. Science of the Total Environment 409, 4187-4197.

水生昆虫は室内の毒性試験の結果だと感受性が低い結果になっていて,野外だと感受性が高いと考えられている。このギャップは何か?ということについて探ろうとしたレビュー。ただ,その目的とは裏腹に,その傾向は再度確認できたけど,結局その理由についてはまだまだ特定できない。というのが結論だと思う。著者らが指摘している原因の一つは,曝露期間と評価しているエンドポイントの違いだけど,それはまぁ特にこの研究でないとわからなかったというわけではない。室内試験,メソコスム試験,野外調査と,単一の重金属の影響を議論している研究に限って*1集めて,環境基準*2と比較しているのはおもしろかった。急性,慢性の毒性メカニズムについて簡単に整理されているのは今後の参考になる気がするし,重金属に対して底生動物は感受性が高いよと論文で書くときに引用するのにも良さそうな感じ。

*1:野外調査はちょっと違う基準で集めている

*2:これは室内毒性試験から出てきたものとして位置づけているんだと思う