A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

日本生態学会第66回大会の私的感想のまとめ

総じて,やはり生態学会は楽しかったです。そろそろ自由集会とか企画したいなぁと思ったりするけど,特にネタはないですね。。後で加筆・修正などするかも知れませんが,ひとまず公開しておきます。

  • 自分の発表関連
    • 君は見分けられるか:鉱山廃水流入河川と対照河川における底生動物及び魚類相の比較」というタイトルで横国大の難波さんが代表で発表しました。結構色んな人に説明して,色々と意見もらえたように思います。魚類は半々,底生動物だと(結果が比較的分かりやすいので)見分けられた人が多い感じでした。挑戦的な取り組みでしたが,難波さんがよくやってくれたと思います。ボク個人的にはポスター賞いけたかなと思うくらい,結構良い完成度だったと思います。
    • 平均スコア法において底生動物各科に割り当てられたスコアを野外データから検証する」というタイトルでポスター発表しました。要旨にあるとおりですが,平均スコアって条件を揃えてあげると割と良い指標だ,ということが示せたような気がします。さてこれを展開させるかですね。もう確実なところで一旦アウトプットしてもいいようには思うのですが。。いずれにしても,複数の人に「面白い」と言って頂けると,励みになるなぁと感じました。精進します。ウロウロしてたけど,18日はほぼポスター発表な一日となりました。
  • ノンパラ検定自由集会
    • U検定とかBrunner-Munzel検定で何が帰無仮説になっているかお恥ずかしながら知らなくて,stochastic equality*1帰無仮説になっているというのが面白かった(というか勉強になった)。
    • 正確性不明の,個人的なメモとしては以下の通り。多分そのうちスライドがwebにアップされるように思います。
      • データが正規分布の場合は,Studentのt検定に比べて,マンホイットニーのU検定の検出力は,漸近的に3/πになる(大体0.95)
      • データが正規分布でない(ロジスティック分布とかラプラス分布,対数正規分布)と,結構マンホイットニーのU検定が勝つ
      • ばらつきが大きくサンプル方がサンプルサイズが小さい場合*2に,第一種の過誤を起こす確率ががインフレを起こす
    • 分布の形や分散を変えた分布を2つ作り,平均値とか中央値とかピークが同じという帰無仮説*3をU検定やBrunner-Munzel検定なんかの方法で検定して,各方法の第一種と第二種の過誤を比較するみたいなことをされていたけど,結局Brunner-MunzelやU検定の帰無仮説がstochastic equalityであるのならば,そもそも調べる対象ではないものに適用して,「あれ全然だめですね」と言っている気がしたのですが,違うのでしょうか。どうも腑に落ちなかった。。
  • 生態学者×実務者シンポ
    • よくある議論ではあるけど,最初の方の方々の発表は結構熱がこもっていて楽しかった*4
    • 実務者(ここではコンサルの方を主にイメージ)に来てもらうには,学会時期をずらす必要があるというのは前から言われているはずで,河川分野だと応用生態がその役割を担っていると思う*5
    • 個人的には,そもそも具体的にどう協働する可能性があるのかのその中身が見えにくかった。両者スピード感が違うのは話題提供者の方のおっしゃるとおり。
    • 結局は個別の交流の機会ややシーズやニーズの共有をうまく交換する機会*6を地道に作るしかないのかなと思った(これって別に実務者と生態学者に限らないよね?とも思った)。
    • JAEにPractitioner’s Perspectivesという枠があるというのは初めてしった。
    • 生態学会誌関係が実務者の間で認知されていないのでは?という指摘も面白かった*7
    • ちょっとそれるけど,結構衝撃だったのは,このシンポの後の生態系管理専門委員会がガラガラだったこと。
  • 多元素同位体情報シンポ
    • 一部だけ拝聴。アイソスケープとか初めて聞いたけど,移動経路が推定できるのは面白いなぁと思った*8
  • メタハプロタイプ自由集会のち間接効果の「ごりやく」自由集会
    • TNBさん*9の独演会。個人的には,細かな話まで聞けて勉強になった。と思う。新たな方法論あたりも中身がなんとなく理解できて面白かった。
    • SSKさんの生態物多様性の話を途中から聞きに行く。相変わらずの感じだけど,やはり勉強になるし,論文読んでるなぁって思った。これまた刺激になりました。
  • 発表関係その他
    • AICでモデル選択して,検定しては駄目*10。きちんと共変量を入れることが大事で*11,検定のみがベター*12
    • 北大の河川魚類関係の話が2件面白かったけど,きちんとポスター賞をとられていた。さすが。
    • TKNKさんはやはりポスター発表が終わる最後まで会場におられて,たまたまウロウロしてて見つけたので,保護区選択の話を聞く。自然公園とかで結構現実的な問題としてあるのだなと面白かった。諦めがあって,この諦め感をボクの分野でも読み込めないかなぁと想像したり。
    • 某民間企業のNSDさんやNIESのKBさんとかにもご挨拶できて良かった。なんかできるといいのになぁ。

*1:AとBから抜き出して大小比べた際にアイコになる

*2:記憶が曖昧

*3:このあたり実はあまりピンときていない

*4:途中から抜けました

*5:途中抜けていたのでそのあたりの議論が出ていたかは不明

*6:そもそも実務者としてはニーズを出すのは結構ハードルが高いとは思う

*7:これは分野によるかなと思った

*8:NGTさんのお仕事。さすが

*9:面識ないです

*10:まぁこのあたりはDavid Andersonとかも常に言っていることではある

*11:このあたり因果の問題とも関係しそう

*12:という理解で良かったはず