A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

SETAC EU

ミラノから帰還しました。自分のポスター発表は今回は結構受けるかなと期待していたですが,まぁいつもと変わらない感じでした。主要な人たちには見てもらえたと思うので,まぁ満足。野外から安全濃度を推定しようとしている研究は,残念ながらやっぱりほとんど皆無で,ボクが見た中では,Craneさんのところがアンモニア濃度と底生動物や藻類の調査から結果を報告していたやつくらいでした。このマイナーさも*1一つの要因かもしれません。後は,重金属のセッションで発表すれば良かったかもしれない*2


学会で気になった人たちを少し(メモ)。生態リスク関連です。

Frederik De Laender
古いサイトはここにあったりする。「生態学を生態毒性学に」というスタンスのようで,生態系モデルの発表とか,多分4つくらい発表していた。特に,生態系モデルの発表が終わった後に,満杯だった会場がガラガラになったのが印象的。いい人そう。思い切って話しかけてみたので,後でメールして,仲良くなれたらおもしろいなぁと思ったり。


Graeme L. Hickey
学位取得はボクと同じくらいなのか。統計っぽい人で,種の感受性分布(SSD)の統計的なところの計算方法の検討を発表されていた。できそうなオーラが出ていて,なんとなく印象に残った。質問しようと思って何度かポスターの前に行ったけど,ずっと盛況で断念。勝手な印象だけど,YMMCさんっぽい感じ。


Matthias Liess
若手ではないのですが,この人の学生が沢山発表されていた。永井さんが解説されているSPEARの開発者で,そのせいもあって,とにかくTraitsの話が結構あった。SPEARは事前の生態学情報から農薬に対して感受性の高い種を選出して指標を作るみたい。気になったのは,感受性が高い指標が作れているようなのですが,「感受性の高い指標探し」になっていそうで個人的にはちょっと。。。感受性が高い指標探しに邁進すると,本来の管理の目標に必要な指標や目的を見失ってしまう。あと,くしゃっと指標化してしまうと,その指標の減少率とかの意味が掴みにくくなるのも個人的には好きくない。農薬のメソコスムなら,感受性高い指標は濃度であり,管理の目的を考えれば,適切な生物指標が自ずと見えてくるんじゃないだろうか。関連して,Mikhail A. BeketovさんのHPはこちら
SETAC North Americaに参加してても,Liessの名前は一度も聞いたことなかったけど,ちょっと思ったのはEUとNAで多少コミュニティができているのかもしれない。


後,ヒラタカゲロウとかの水生昆虫で急性毒性試験している人が居ておもしろかった。Staticな環境だけど,まぁまぁ良い感じで影響が見られて*3,他の生物種と一緒にSSDに載せると,割合良い感じにプロットされる。修士とかいうから,すごいなぁと。よく聞いてみると,Davidさんに色々教えてもらったとか。慢性はできないですかね?と聞いたら,それは無理だろう的なことを言われた。


学会期間中にあくせぷと連絡も来たこともあったせいか,今回の学会は満足度が高い。

*1:マイナーだからといって価値が低いとは全然思ってないのですが

*2:なんかこの教訓は最初に出たSETAC NAで学んだ気がするけど。ただ,今回は重金属のtoxicologyのセッションがなかったので,ついついfield effectなセッションで申請してしまった

*3:本人曰く