A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Jones DK, Relyea RA (2015) Here today, gone tomorrow: Short-term retention of pesticide-induced tolerance in amphibians. Environmental Toxicology and Chemistry, 34: 2295-2301

可塑性のお話。こういう話に興味を持つようになってしまいましたね。Relyeaさんは全然ノーマークだったんですが,農薬と(おそらく)カエル(オタマジャクシ)の可塑性に着目して,生態学とか進化の文脈で仕事をしてきた人のようです*1。ハイイロアマガエルのおたまじゃくしにSevin(カルバリル)を非致死濃度で曝露させて(Phase 1),8日後により高濃度で曝露させると耐性がついていて(生存で評価),さらに26日後にPhase1の別集団で同じ試験をするとその耐性は見られなくなっていたという話です(可逆的な可塑性*2)。こういう応答が見られたのかカエルでは2例目というところと,その耐性獲得によって生活史形質(変態までの生存率,重量(mass),snout-vent length)とのトレードオフは見られなかった,あたりがおもしろいところかと思います。Discussionでは,この結果になった理由とか今後の展開について考察されています。可逆的な可塑性が起こりうる状況に関する理論的説明とかがおもしろかった。

*1:ウィルのところに居たところに,ウィルがおもしろい研究している人がいると言っていたのがこの人だった気がする

*2:こういう訳で良いのかは未確認