A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

水質汚濁の生態学

水質汚濁の生態学

第2部の汚水生物体系論をざら読み。目次はここ。津田さんの研究は,水生昆虫の分類と生態に加え,水質汚濁の生物側の側面の研究に二つに分けられるようです*1。ボクが生まれるより先になくなっている方で,お人柄は分かりませんが,当該部分を読む限りでも,研究に対してとても網羅的で真摯な姿勢をなんとなく感じられます(詳細がよく書かれているという点と*2,自分の意見をきちんと分けて書かれている点)。
ちょっと驚いたのが,第1部 生態学と水質汚濁の第1章 生態学の意味するもの,で,

博物学から,生物地理学から,生理学というふうに,いろんな分野から発した寄せあつめの学問で出発した生態学は,いまでも”ぬえ”的正確を残しているが,追々独自の方法論と独自のフィロソフィーが確立されつつあるところである。

と書いた後で,

その全般の内容を紹介することは,とても紙幅が許されない。(中略)ここにはとりあえず,生態学よく用いられる用語を(ことに生物経済学的な面に重点をおいて)列記して,その輪郭を想像していただくとしよう。

として,その後に,数十個の単語が列挙されているのです(意味の説明もなし)。そして,その列挙をもって,この章は閉じられるという斬新さ*3

*1:津田松苗さんについては,生態学会の追悼記事がここで読めます

*2:詳しすぎてボクにはちょっとな感がありますが

*3:ちょっとこの強引さに素敵さすら感じます