A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

最小の毒性値に不確実性係数を用いて導出される予測無影響濃度の限界を意識することのススメ.

岩崎雄一, 加茂将史. 2021. 最小の毒性値に不確実性係数を用いて導出される予測無影響濃度の限界を意識することのススメ. 環境毒性学会誌 24:43–47. 10.11403/jset.24.43

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生態毒性データを集めて,最小の毒性値を選出して,それに不確実性係数*1を適用して,予測無影響濃度を求めることは,よくやられているのですが,その危うさについて,種間の感受性のばらつきという観点から,少し整理して議論した資料論文です。当事者の方にはわりとショッキングな内容も含まれているかもしれませんが,ここが立ち位置だと認識することが重要だと思っています*2。この原稿を準備した理由はどちらかというと,イントロで触れている経験がわりとショッキングだったというのが正直なところですが,個人的には重要な点を指摘できたのではないかなと思います。査読者には,この方法自体にはもっと別の問題もあるよね,という指摘ももらっていたのですが,ひとまずそのあたりはさらっと触れているだけになっています。読みやすいボリュームかなと思いますので,是非ご笑覧ください。

*1:不確実係数,安全係数などとも呼ばれる

*2:一方で,通常求められる予測無影響濃度についてはここまでショッキングなことにはなっていないだろうなぁと,いくつかの理由をもとに,思っています。たとえば,3種といいつつ,他の種を集めていたりするし