A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

3種でもわりとSSDをうまく推定できそう?

Iwasaki Y, Sorgog K. 2021. Estimating species sensitivity distributions on the basis of readily obtainable descriptors and toxicity data for three species of algae, crustaceans, and fish. PeerJ 9:e10981 DOI: 10.7717/peerj.10981.

peerj.com
先月ですが,藻類,ミジンコ類,魚類からそれぞれ3種の毒性値がある場合,その3つの毒性値の平均と標準偏差を使えば,8種以上の毒性値から推定された種の感受性分布(対数正規分布を仮定)の平均と標準偏差,さらにはHC5(95%の種が保護できる濃度)を,そこそこうまく推定できそうですよ,という論文がPeerJに載りました(オープンアクセスです)。加茂さんが代表のLRIの研究成果です。

ボクの記憶が正しければと,研究の前段階にNさんと話していて,「物理化学的なパラメータでSSDを直接推定できないなら,あるデータを使えばいいじゃん」とさらっと言われて,あーなるほど,と思って,やった研究です。3種の平均と標準偏差の「効果」はすごく大きいのですが,敢えてさらにそこに記述子を加えるとすると,例えば,VerhaarのClass 4の変数が予測には役立ちそうだ,ということもモデル解析結果からわかりました*1。もっと,大きいデータベースで検証したい(+構想はある)のですが*2,手が回っておらず,やって頂ける方募集中です!種の感受性分布の推定に必要な種数は,10種以上や~とか,13種や~とか,色々言われていますが,じゃあそこまでないときに使えないか,というと,そういうことではないと思うのですよね,このあたりの検討を今度ももう少しできればと思っておりますが。。

*1:このあたりも既往知見から考えると予想されることで,別に新しいことではないです

*2:予備的な解析では,今回の結果をきちんとサポートするような結果になりそうだということも分かっているのですが