A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

NOEC関連で,Jagerさんの主張。無影響濃度(NOEC)のまずさ(問題)については,最近ここで紹介した論文にもあるのですが(こことかここ),Jagerさんは少し違う主張を持っているようです。具体的にはわかりませんが,コーイマン先生のところの人のようです(多分)。

Jager (2012) Bad habits die hard: The NOEC's persistence reflects poorly on ecotoxicology. Environ. Toxicol. Chem. in press.

とにかくタイトルが強烈です。「悪い習慣はなかなかやめられない」。批判について基本的な内容はまぁ他にもある感じで,科学者コミュニティの中でもまだまだNOEC使われていますよと。提案としては,ECx*1を利用するのはなく,もっとメカニカルなモデルを使いましょうという主張。動的機構モデルを用いるということは書いてあるのですが,じゃあそっからどういうところで落とし前をつけるのかはここには書いてありません。この主張に至る綺麗な例の一つが,時間によって毒性影響は変わるという話で,下の1つめのViewpoint論文で主張されています。まぁ,その通りであるわけです。そのモデルというのが,下の2つめの論文で使用されている論文のようなのですが,ざっと見た限り,これがまた複雑そうなモデルで,こんなにパラメータあっていいのかい?推定できるのかい?というのが個人的な印象です*2。粗いマトメですが,とりあえず。

Jager (2011) Some Good Reasons to Ban ECx and Related Concepts in Ecotoxicology. Environ. Sci. Technol. 45:8180-8181.
Jager et al. (2011) General unified threshold model of survival - a toxicokinetic-toxicodynamic framework for ecotoxicology. Environ. Sci. Technol. 45:2529-2540.

*1:x%が影響を受ける濃度

*2:ぺらぺらめくっただけなので,後でちゃんと読んだら,印象は変わるかもしれません