A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

米山兼二郎, 八木昇一 & 川村軍蔵 (1992) ティラピアTilapia mossambicaの釣られ易さの個体差. 日本水産學會誌, 58巻, 1867-1872.

某メーリスで流れた論文。おもしろそうなので,読んでみた。ティラピアを実験池に入れて実際に釣ってみて,釣られた経験を学習して次から回避する(Buekemaの学習説)のか,釣られやすい個体と釣られにくい個体がいる(Martin仮説)のか,を調べた研究。この流れからいくと,シンプルそうな実験でいいのかなと思ったけど,色々入念に練られている感じ。結果からMartin仮説が支持される(肯定され得る*1)のはいいような気がするけど,Buekemaの学習説を棄却され得るというのは,ぱっと読んだ感じではよくわからなかった(ただ,学習が時間的に消えないもの?というなのかもしれない)。一時的に釣れなくなったときに休みを入れると釣れだすという結果は確かに記憶に残る学習では説明できないけど,そういう短期的な何か?みたいなものあったりしないのかなぁと思った(単なる素人考え)。実際の漁業で釣獲率が下がるのは,必ずしも個体数が急減しているわけではない?という示唆に繋がっていてこれもまたおもしろい。最後に関係ないですが,そもそも野生のティラピアを捕まえて実験したという記述にびっくりした。

*1:という書き方がおもしろい