A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Stockdale et al., 2012. Recovery of macroinvertebrate species richness in acidified upland waters assessed with a field toxicity model. Ecological Indicators NA, NA.

Tonyの新しい論文,in press状態。大分前に受理されているのに,まだarticle in pressにいるのはちょっと不思議。Stockdale et al. (2010)で構築したモデル*1を使って酸性化した淡水における生物相の回復を予測して,データと比べてみたという研究。おもしろいけど,90%とかの分位点回帰って,平均値を予測するものではないから,予測と観測が合わなかった場合の言い訳は結構なんでもできるのが,怖いところ。こういう展開でいいのかはちょっと気になるところですが,でも比較的納得できる説明がついていました。「あー,これスティーブが加えたな」と思える考察もあったり。そもそもChemistなTonyがこういう論文を書けるのが,きちんとモニタリングデータがある海外と連携力ですかね。

## 20130208
ちょっと置いてみて思うのは,quantile regressionで上限を回帰してそれを予測に使うと,予測値以下であったものは「他の要因が影響している」と言い訳ができるし,予測値を上回っていても,数%は上回るもんだと言い訳ができる。ということで,その結果に対してあまり明確に「このモデルは良さそう」というサポートを得るのは難しそうな気がする*2。特にStockdale et al. 2010は,地域の違いによる元々のEPT種数の違いを考慮できていないので,他の地域に当てはまるのはちょっと抵抗がある。欧米くらいならいいのかもしれませんが。。

Stockdale et al. 2010. Toxicity of proton-metal mixtures in the field: linking stream macroinvertebrate species diversity to chemical speciation and bioavailability. Aquatic Toxicology 100, 112–119.

*1:ボクがもらったデータとほぼ同じデータを使って,導出したモデル

*2:でもきっとやつらは推してくるんだろうなぁ。ちなみに,湖沼のプランクトンデータに当てはめた論文もいま投稿しているみたいです。うむうむ。