A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

2022年の振り返りと2023年の目標

あけましておめでとうございます。更新頻度は月1くらいになっていますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。思いの他早く起きてしまったので、整理などを…。去年は2月頭から所内出向となったり、次男がちょっと大変な病気にかかってまだ寛解できていなかったりと、個人的に大変な1年でした。といっても、いずれもまだ継続中なので、過去形で書くのも変ですね。そんな中、変則的な勤務を許容してもらえることの有り難さを実感しています。

研究

  • 論文は、昨年紹介したものを除くと、主著2本(国際、国内1本ずつ)、コレスポ1本(国際)、共著2本という感じです。出向がなくても、周期的に少なめだった気がします。弊所的には主著の掲載誌はQ1でもないし、なんともいえない業績ではあるかもしれませんが、個人的には出したい論文を最低限出せて満足しています。
    • Yuichi Iwasaki, Pete Cadmus, James Ranville, William H. Clements (2022) Stream mesocosm experiments show no protective effects of calcium on copper toxicity to macroinvertebrates. Environmental Toxicology and Chemistry. 41(5): 1304–1310.
      • コロラド州立大学に滞在していたときの積み残しなので、10年くらい前のメソコスム試験の結果です。結果はシンプルで、米国の硬度補正の水質クライテリアベースに、銅の毒性を緩和すると思われるくらいカルシウム濃度(硬度)をあげても、全然底生動物への影響は緩和されなかったですよ、という結果です。これわりと当時衝撃だったのですが、BLMベースのクライテリアだとそういう緩和は予測していなくて、ちょっと残念に思ったりもした記憶があります。心残りとしては、結果としてもうちょっとカルシウム濃度が高かったほうがよかったよね・・・というところでしょうか。個人的に操作実験の楽しさを教えてもらったので、きちんと論文にできて良かったです。
    • 岩崎雄一, 小林勇太, 末森智美, 竹下和貴, 梁政寛(2022)日本全国の河川における水質測定地点 (環境基準点) の物理化学的特徴の整備とそれに基づくグルーピング. 水環境学会誌 45(5),231-237
      • 内容はタイトルのまんまで、ここで書いた内容です。12月のシンポでも紹介できて、その意味で個人的には満足なのですが、じゃあこっからというところがまだ個人的にすっきりしていないのが最近のもやもや。
    • Miina Yanagihara, Kyoshiro Hiki, Yuichi Iwasaki (2022) Can chemical toxicity in saltwater be predicted from toxicity in freshwater? A comprehensive evaluation using species sensitivity distributions. Environmental Toxicology and Chemistry. 41(8): 2021–2027.
      • 淡水と海水の種の感受性分布の比較で、ここで書いた内容です。これもある種わかりやすい結果ではあるのですが、きちんと論文にできて良かったです。もうひとつ継続で進めていて、それは今年論文投稿できることを!書きようによっては、いいところに載る気がするのですが。はてさて。
    • Masashi Kamo, Takehiko I. Hayashi, Yuichi Iwasaki (2022) Revisiting assessment factors for species sensitivity distributions as a function of sample size and variation in species sensitivity. Ecotoxicology and Environmental Safety. 246: 114170.
      • 対数正規分布を仮定した種の感受性分布について、種数と分散から、不確実性係数の決め方を提案した論文です。個人的に重要な成果だと思うのですが、これがきちんと使われるには、まだ少しステップや宣伝が必要なんだろうなぁとは思っています。一方で、Rのssdtoolsでお手軽にモデルアベレージングとかできるようになってきて、なんかちょっとなぁと個人的には思っているところです。
  • 論文奨励賞
    • まったく予想していなかったのですが、年齢ぎりぎりで、日本水環境学会から論文奨励賞(廣瀬賞)を頂きました。同じ所属で、しかも同じ企画室に出向中だった佐藤さんと一緒にもらえたのも個人的には思い出になりました。佐藤さんは、Water Researchで、ボクは水環境学会誌(しかも筆頭論文ではなくて、コレスポ)という違いが、実力の違いを感じますが、それでも、KGWさんとの成果がきっかけで受賞に繋がったのも地味ながらも日本語論文を書いてきてよかったなと思えた次第です。引き続きがんばります。
  • 今後の研究
    • 企画室で色々見ていると、改めて自分の研究やテーマについて考えさせられました。かといって、別になにか新しいことを急にやれといってもできるだけないのですが。。関連して、Hさんに「そろそろ自分ができることとかできないこととかみえてきますよね」ってメールで送ったら共感メール?が返ってきたので、そういうお年頃なのかもしれません。そんな余計なことを考えずにがむしゃらに○○とってきて、○○書け、と言われそうですが、なんとなくそんな時な気がするので、これは、今年のテーマとしてぼやっと頭に置いておきたいと思います。その意味でも、なにか新しい手法をできるようになることを今年の目標にしたいです。

日常

  • 2月からどたばたが発生し、公私共になかなかしんどい1年でした。まさか長男と合計2ヶ月くらい、二人で過ごすことになるとは、考えてもなかったのですが、まぁでもそれはそれで色々と学ぶことはあったように思います。月並みだけど、夜ご飯考えるの大変!とか。
  • 基本遠出はできてないのですが、長男が高知に一人で行ったのは、個人的に良かったんじゃないかなぁと思っています(自分のことではない)。
  • 夏休み終わりに流行りの感染症になって、ホテルに缶詰になったのも今思えばいい思い出だったかもしれません。ただ、10日間ホテルから出れないのは、なかなかしんどかった。。。食における味の多様性みたいなことの重要性を肌で実感したり。
  • ということで?、しばらく飲み会から完全に足を洗っています。まずは、次男が落ち着くのを第一に生きていきたいと思います。

今年の目標・抱負

  • 2月に出向があけたら、手は動かしつつ、今後をじっくり考えていきたいなぁと思います。
    • 出向での経験や昨今の情勢を考えると、ほんともう…という感じですね。まぁでも今は色々見えすぎているのかもしれません。
    • 目先のテーマでいうと、底生動物の解析、引き続きSSD研究、などなどでしょうか。
  • 論文は,もうすぐ投稿中の論文がなくなる気がするので*1科研費の成果をきちんと形にしたいところです。
  • 新しいことを学ぶ(新しい手法を一つ使えるようになる)
  • 英語の総説(ひとまず書いておくが,予定なし)
  • 今まで1回も行ったことがない日本の学会にも参加したい(こちらも予定なし)。
  • オンライン英会話を習ってもいいかも(療養中にお試しで少しだけやったのですが、わりと楽しかった)。

*1:希望的観測